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side Y ページ20

ICUに入院したと聞いたわりには、太輔の回復は早く、ミツの目覚める半日前に、太輔の意識が戻った

まだ人工呼吸器をつけながら、うまく動かせない身体をもどかしそうにしていたけれど、
それでも、太輔が目を細めて、微笑んでくれたのがわかった時は、心の底から安堵の涙を流した

「太輔・・っ・・ミツは、ミツも、無事だから・・」

太輔の、細長い指をキュッと握って、多分一番気にしているだろう、ミツのことを伝えた

太輔が、あんなふうに、自分を犠牲にしてまで、まるでミツを守るようにして、倒れていた時の光景が胸を締め付ける

「っ・・・の」

ベッドに寝たまま、少し苦しそうにつぶやいた、太輔の口元に耳を寄せる

「え?」

「・・・なの?」

「え・・・」


その言葉を、疑った


北山に、なんかあったの?


そう、聞こえた



その後、医師の許可をもらいながら、少しずつ、太輔の記憶をたどっていった

俺の感じた違和感は・・間違いではなくて、


太輔は、ここ一か月間の記憶が


なかった



一連の事件のことも、ミツと自分に起きたことも・・
全部、覚えていないように思えた


その証拠に、ここ最近打ち合わせた仕事の内容は忘れているけれど、去年のライブの内容は覚えていたし、俺達のことも忘れていたわけではなかった

医師と、二人で、話をした


『あまりに辛いことがあって・・無意識に、その記憶を封印したのではないでしょうか』

『っ・・・』

『おそらく・・思い出すことはあるかもしれませんが・・もう二度とないかもしれない・・
でも、忘れても支障ない事ならば、無理強いしないほうがいいのかと』



言われなくても、その辛いこと、が何なのかなんて十分すぎるほどわかっていた

あの時血まみれで倒れていた太輔の、姿がフラッシュバックして、俺は思わずぐっと唇を噛んだ

ミツの・・傷ついた姿を・・目の前で見たんだ・・

辛くないわけ、ない


その後、目を覚まさないミツ以外の、全員にこの事を伝えた

みんなそれぞれ、神妙な面持ちで、この事実を受け入れようと必死だった

辛い記憶を忘れているなら、無理に思い出さないほうがいいという意見と同時に
それは、あの忌々しい記憶を、ミツ一人に背負わせるということに他ならなかった


結局、俺達はどちらを選んでも、太輔か、ミツを傷つけることになるんだ
それが、とても辛い・・現実だった

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ピンクピーチ(プロフ) - あこさま!いつも温かいメッセージありがとうございます!励みにさせてもらってます!!もう少しで幸せな二人編に突入するので、もう少し頑張ります^_^ (2019年11月15日 15時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - こんにちは!更新されるたびに泣きながら読んでます。みんなの心の傷が癒えてふたりがしあわせな時間を早く過ごせることを願ってます。ピンクピーチさまもしんどい部分の更新大変だと思いますががんばってください!応援しております^^! (2019年11月15日 14時) (レス) id: c75777a11f (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - みってぃーさん» はじめまして^_^日課にしていただけて大変光栄です!そして、温かいお言葉!こちらこそ泣きながら読ませていただきます!!これからも、更新励みますので、良ければ読んでやってください★ (2019年11月11日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
みってぃー(プロフ) - いつも更新ありがとうございます!毎日更新されているか確認するのが日課になってます。そして、更新された話をここ最近泣きながら読んでいます。作者様の作品はどれも心に刺さるものばかりで尊敬しています。大変だと思いますが更新頑張ってくださいね。 (2019年11月11日 17時) (レス) id: 4e432f1ab1 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - キスマイさん» ご愛読ありがとうございます!これからは、藤北以外のメンバーの心情も複雑に絡みながら展開していきます…また楽しんでいただけたら、嬉しいです^_^ (2019年10月27日 10時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年10月23日 15時

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