それは、タカラモノ 〜序章 疑惑〜

side F ページ44

家へ帰って、シャワーを浴びた



頭からお湯をかぶったけれど、今日のことが頭の中でフラッシュバックして、
大好きなリララックスタイムは、まったくくつろげなかった

バスタオルで体を拭いて鏡を見ると、疲れた顔色の自分が映る







玉の、俺に向けた目が・・氷のように冷たかった


俺の事・・信じてもらえないのかな・・






『マネから聞いたよ・・地下駐車場で、しゃがみこんでたって。誰かを探してて…声かけたら慌てて立ち去って行ったって・・
ねぇ、俺にも言えないようなこと・・なにしてた？』





玉の、刺すような目つきを、初めて見た

こんなことで、メンバーの、仲に亀裂が入っていくようで
耐えれずに俺は、何も言い返せなかった

だけど、俺が何も弁明しないことが、逆にまた不信感を募らせているようだった

言えば…

また、他の奴らに危険が及ぶかもしれない


あのことは、俺と北山の中だけにとどめて…


そう思って、
ふと、北山の顔が浮かぶ

病室で、思いつめた様に、玉を不安げに見ていた

そういえば、宮田とマネを連れ出したあとの北山を置いて帰ってしまった

玉に詰め寄られて、逃げるように帰ってきてしまったけど、北山はしばらくあそこにいたのかな？



情けないな・・そう思いながら



気がつくと、その名前を、スマホから呼び出している自分がいた

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