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side F ページ35

「あれ、まだ玉来てないの?」


楽屋に入ると、北山が一人でソファに座っていた
珍しく寝転んでいないコイツを見下ろすと、不安げな表情で俺を見上げてくる


「・・どうした?」

「・・いや・・」

「無理すんなって・・北山・・?」



まだ、渉と、三人に起きたことを気にしているのだろうか

俺だって気にならないわけじゃない
むしろ、そのことで頭がいっぱいいっぱいな自分がいる



「なんか、あったか・・・?」


黙ったまま俯く北山の隣に腰掛けた
言葉を発しない北山の目を見た



「俺には・・頼ってほしいな」



北山の大きな瞳を覗き込むと、その瞳がゆらりと揺れた

抱え込まないでほしい
なんでも、一人で背負いこんでしまうのは北山の悪い癖だよ・・


「ふじがや・・・」


不安な表情を宿すその瞳が、俺の不安を煽る

咄嗟に、その肩に手をかけて、気づいたころには自分の胸の中にキツク閉じ込めていた



「・・・大丈夫だ」


なにが、大丈夫なのか
自分でもわからないけれど、こうしないと、俺が落ち着かなかった

ぎゅっと抱きなおした北山の身体は温かくて、俺のほうが落ち着いていく気がした



「そういえば、宮田は、今日退院できるみたいだよ・・」

「よかった・・」

「大丈夫・・?」



すっと、名残惜しいその小さな身体を離した
もうすぐ玉が来る


まだ腕に残る北山の温もりを、こっそりと抱きしめた




今日も、いつも通り一日が始まる



その一日は、いつもと同じように終わると

この時の俺は、そう信じて疑わなかった

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ピンクピーチ(プロフ) - えみさん» ありがとうございます^_^まだ序章ですが、これからもドキドキハラハラしていただけるよう更新していくので、お楽しみくださいませ!! (2019年9月22日 11時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
えみ - ハラハラもあり恐怖感もあり、すっごく気になるお話ですね!!おもしろいです!!続き楽しみにしてます(*´∇`*)応援してます!!! (2019年9月22日 1時) (レス) id: 593c5b68c6 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - 北山アマージョさん» ハラハラしながら、楽しんでいただけたら嬉しいです^_^以前から、お気にかけて下さりありがたいです!!これから、本編も盛り上がって行くので、引き続きよろしくお願いします^_^ (2019年9月20日 22時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
北山アマージョ(プロフ) - こんばんは!今までとは趣きの違うお話しハラハラします!怖いですが、楽しみにしてます!以前も何度もリクエストさせて頂いてたんですが、ニックネーム変えてしまったのですみません。 (2019年9月20日 21時) (レス) id: eca4a61663 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年9月12日 17時

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