それは、タカラモノ 〜序章 疑惑〜

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「えー！これ、いいの！！」


「はい、千賀さん、前うらやましいって言ってたので、海外に買い付けに行った際に買ってきました」

「マリちゃんー！最高！」




目の前に出された、日本未発売の保湿用ミストのボトルを握りしめて、後ろに立って微笑む彼女に笑顔を返した
ほのかに香る甘い香り


「じゃ、メイクするんで、前向いててくださいね」


同じくらい甘い笑顔の彼女に
言われた通りに目を閉じると、シュッといい香りが広がった



「あー、千ちゃんだけズルいー」


隣に座った宮田が俺の手元をみて、声を上げた


「じゃぁ、今度宮田さんの分も買ってきますよ」

「えーマリちゃん神！あざーっす！」


マリちゃんは、ここ最近入ってきたメイクさんで、愛想がよくて美人で、俺達のメイクをしてくれるうちに、
俺達も心を許すようになっていた



「ねー、ニカ、まだ来てないよね？」


「あ、二階堂さんはまだいらしてないですね」




時計をちらりと見る

いつもならもういる、時間なのに




最近、ちょっと元気がないニカを心配して、それとなく聞いてみたりもしたけれど

大丈夫

と、話を逸らされる



ライブの構成で悩んでる

そう言っていたニカだけど・・



そうじゃないことはなんとなくわかる

だって俺たちシンメでしょ？



ミツと、ガヤさんみたいに・・あそこまでカッコよくなれなくてもさ、
信じて信頼し合える関係


そうじゃない・・のかな？



「ハイ、今日もイケメンですよー」


マリちゃんの声で、目を開けた

帰り・・もう一度聞いてみようか




俺の中で、チクチクと、何か引っかかるものを感じ始めていた

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