意地っ張りな君へ

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昨晩は、ほとんど眠れなかった

今日も早朝から仕事だから早く寝なくちゃいけないとは思いつつ、
北山が出て行ってから、もしかしたら、意地を張ってゴメンって、北山が俺の部屋に戻ってきてくれるんじゃないかときになって、布団の中で目が冴えてしまった


だから、まだこれから別の仕事が残っているというのに、移動車でこうやって座っていると、ついうとうとしてしまう

さっきから何度も確認しているスマホを見ると、やはりそこには何のメッセージも届いていなかった

北山、ちゃんとマネからジャケット受け取ったかな
ぼんやりとした頭で、昨日の出来事を回想した





昨日、飛び出していった北山を引き留め損ねたことが、俺の心を沈ませていた

最悪なことに、今日から俺の仕事のスケジュールが目いっぱいで、２週間近く、きっと北山と会えない
喧嘩別れしたまま、そんなにアイツと会えないなんて・・そう思ったときにふと、北山の忘れていったジャケットが目に留まった



俺が、雑誌を見て、思わずそういうデザイン北山にいいねといったら、後日、照れたような笑顔を見せながら、買ってきちゃった、といった北山の表情が、今でも俺の胸を温かくさせる
はにかんだアイツの笑顔が好きだ

北山のお気に入りジャケット

これから、すこし寒い日もあるというのに、寒がりな北山は、これなしで大丈夫かな・・


そもそも、二週間近くも会えないのに、アイツ、俺の家にこんなに洋服を置いていって大丈夫なのか？

物持ちのいい北山は、意外とモノが少ない
自分の家にある洋服を、俺の家に持ってきては、そのまま置いていくから、いつの間にか自分の部屋に服がほぼないって言ってたことがあったっけ
洋服だって、こんなに俺の家に溜め込んでて、取りに来るつもりあるのかな？

意地っ張りな北山のことだから、ケンカして出て行った以上、ここ数日のうちに取りに来るなんて・・しないだろうと思った



仕方ないな・・

小さくため息をつきながら、昨晩の俺は、北山のジャケットお気に入りのフレグランススプレーをかけて、
スチームアイロンで皺を伸ばした

本当は、直接アイツに渡して、昨日はごめん、大好きだよって抱きしめてあげたい
けれど、今の俺には、そんな事すらできないくらい、仕事の課題が山積み

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