7flavor of kiss

F 3 ページ33

「じゃぁ、キスマイデビュー８周年おめでとう！」

「記念日に乾杯！！！」



スタッフと、メンバーの楽しそうな声が響く中で、俺は一人グラスを傾けた

この記念日は、俺達７人にとって、特別な日
輝かしい、記念日



それと同時に、俺にとっては・・


俺達が二人が別れた、辛い日

アイツと、ただの「シンメであり仲間」にもどった日




『もう、終わりにしよう、俺達』

北山に、別れを突き付けられたのは、デビューが決まり、
歓喜にあふれていた頃だった

Jrの頃から、一緒に頑張ってきた
同じ夢を描いて、同じほうを見て、気づいたら隣に居た

アイツが好きで、アイツの歌う声が好きで
俺を見て、優しく微笑むアイツが好きだった


『なんで・・？』


震える俺の言葉を、黙って聞いていたアイツは、俺に静かに告げた


これから、７人でデビューする中で
俺達の関係性は禁忌だ

スキャンダルはご法度

メンバー同士、男同士、仲間であるメンバーにすら内密にしてきた関係性を
受け入れられてもらえてるほど、簡単でないことくらいわかっていた



『アイツらの夢を・・俺たちの身勝手で潰すことなんて、できない・・
そんなに器用に、渡って、生き残っている世界じゃないだろ・・』




バレなければ、いい

なんて・・そんな生半可な覚悟で向き合ってきた夢じゃないことは、
アイツの隣に居た俺自身が一番わかっていたから




俺達は、同じ色の夢を見ていて

同じ夢を描いて、同じ色の明日を叶えるために



何よりも大切だった




お互いを、



簡単に、捨てたんだ









「ガーヤっ！飲んでなくない？！」

「お前・・飲みすぎだろ・・」



すでにほろ酔いのニカを肩から引きはがす
みんな笑顔で、楽しそうな眼差しで語り合っていた

この先の未来も、今までの過去も


こいつらの、笑顔を守るためなら、なんてことないだろっ・・





北山と別れて、俺はアイツを避けるようになった

「仕事は、ちゃんとしよう」

その言葉すら、守れていたかわからない


アイツの隣に居ると、嫌でも思い出してしまうから



アイツの声を、ぬくもりを
俺を見る、優しいまなざしを

この思いを、愛じゃないというなら、なにが愛かわからないほどに


お前が好きだったよ

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