僕ハ君ガイテ愛ヲ知ル

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「よいしょっと・・」


今回のドラマの撮影は、今までと比べ物にならないくらい過酷だった

ありがたいことに、主演を務めさせていただくのは初めてではないけれど、一人二役、初の双子役
共演者さんも、ベテランの方たちが多く、学ばせてもらうものが多くて充実している反面、精神的にも肉体的にも気を抜けないことが多く、
撮影から帰宅すると、その反動のように、ぐったりとソファに沈んで、そのまま寝てしまうこともあった


だけど、今日はどうしてもこれだけはやりたかった

鞄の内ポケットから取り出したものを読み込んで、スピーカーの音量を上げた






まだ、仮歌の段階だから、聞こえてくるのはアイツの声だけ

何度も何度も聞いているはずなのに、その声を聴くと、どこか安心する

目を閉じると、だんだん気持ちよくなってきて、思わず目を擦って上体を起こした


「やばっ・・寝ちゃう・・」


寝ころんだままだと、完全に堕ちてしまいそうで、ソファに座りなおしながら、歌詞の綴られた紙に目を落とす


「♪〜」


北山の声に合わせながら、一つ一つの言葉を重ねて、口ずさむ
あ、このサビのメロディ・・結構好きだな



「♪これから先の未来には 不安などないだろう」


俺たち二人の名前が書かれた歌詞のところで、ふいに目を止める
あぁ、ここ、結構見せ場になるんだろうな

そんなことを思いながら、アイツと背中合わせで声を重ねながらステージに立つ光景が頭に浮かんだ


千賀の振りつけも楽しみだしな

こうやって、メンバーが、メンバーのことを思いながら作ってくれたものを、自分たちの手で作り上げていく
その過程が、すごく嬉しいと思った



気づけば、曲は終わっていて、もう一度リピートボタンを押した

そういや、ここの歌いだしも、俺達なんだっけ

「♪〜」


もう一度、メロディに合わせて口ずさむ



北山は、どんな思いでこれを書いたのかな
以前、歩いている時とかに思いついたものを、鼻歌とかで録音するって言ってたっけ

きっかけはそうでも、作っていく過程では、あんなに真剣な目、するんだよな


愛する人への思いが溢れたこの曲・・

アイツにも、そんな相手がいるのだろうか

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