F 19 ページ19
「俺たちの名前はー!!」
ファンの子たちと一緒に名前を叫び、銀テープが飛んだ
客席を回りながら、みんなの笑顔を心に刻んで、ステージから捌けた
階段を下ると、先ほどまで、我慢できていた左足の痛みが、ズキズキと激しくなるようだった
だけど、もうなんでもいいや・・
あっという間の、二日間の西武公演が終わった
「太輔、平気??」
ステージに最後まで残された渉がファンの子たちに最後の言葉を伝え終えると、足早に後ろからやってきて、俺に声をかけた
「ん・・なんとか」
その後も、何かと俺の怪我を心配してくれる、メンバーにお礼を言いつつ、俺は必死であの見慣れた背中を探した
急ぐと、余計痛みが強くなるようだったけれど、今だけは・・どうしても、ちゃんとアイツの目を見て伝えたかった
「きたやまっ・・・・!!」
遠くの廊下の先に、見慣れた小さな背中を見つけて叫ぶと、自分でも予想外の大声が響いた
その声量に驚いたように、北山がキョトンとした顔で、丸い目を向けながら振り返る
「お、おまえっ、そんな走んなよっ!!」
片足を引きずりながら、近づいていく俺を見て、慌てた様に俺の肩を支えた
「はぁ・・はぁ・・あの・・さ」
うまく走れないせいで、余計な力がかかって、息が切れる
全力で走ったせいだろうか・・でも、呼吸が止まってもいいから、いま、伝えたいから
なかなか息の整わない俺を見ながら、急かすでもなく、北山は黙ったまま優しい目を向けながら、俺の肩においていたはずの手を優しく下ろした
「あのさ・・さっき・・ありがとう」
その、まっすぐな大きな瞳と、久しぶりに目を合わせた
自分の意志で、はっきりと
「君を大好きだの前・・北山、俺のために・・わざとゆっくりセンステに上がってきてくれたでしょ・・
ホント・・ありがとう」
こんな言葉で、俺の気持ちが100%伝わったかなんてわからない
だけど・・ほんの少しでもいいから、お前に伝わればいいと思った
以前、何かの取材で、北山が俺の事を愛情表現が上手だと言っていたらしいけど
本当は全然そんなことない
大切な人に、大切だと伝えることが、こんなにも難しいなんて思わなかった
647人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピンクピーチ(プロフ) - makoanjyuさん» 言葉にしなくても、伝えあっていると思っているFさんでしたが、果たして、言葉にして伝えることができるのか…ラストに向けて、ご注目下さいませ (2019年6月14日 21時) (レス) id: 27a8873f76 (このIDを非表示/違反報告)
makoanjyu(プロフ) - 身体を痛めて思うようにLIVEでパフォーマンスできないFさん。どんな仕事も全力で頑張ってきたけどケガは想定外。ピンチにすぐに気付いてフォローするKさん。そこにはFK2人の目に見えない絆が確かにあるから。絆以上の気持ちを自覚して言葉にできるのか?気になります (2019年6月14日 1時) (レス) id: 0af91584b9 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - makoanjyuさん» おっしゃるとおり、癖って周りの人のほうがわかってくれていたりしますよね(≧▽≦)Fさんが自分の気持ちに気づいてから、果たしてそれを伝えることができるのか…このあとKさんとどう向き合っていくのか注目くださいませ (2019年6月13日 20時) (レス) id: 27a8873f76 (このIDを非表示/違反報告)
makoanjyu(プロフ) - ニカ千が言ってる意味がわからないFさん。自分のKさんへの気持ちが自分でも解らずモヤモヤしてますね。そして、誰でもそうですが自分の癖って案外自分では解らないものですよね。この後Fさんの気持ちがどう変化していくのか?他メンバーはどう絡むのか?楽しみです♪ (2019年6月12日 23時) (レス) id: 0af91584b9 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - makoanjyuさん» 私も同様に、初めて聞いたときに、これは、K→Fへの曲じゃないかと妄想炸裂しましたwさらに、ライブのあるシーンをみて、益々二人を書きたくなってしまい、作品にしてしまいました(≧▽≦)F視点で、もどかしく進んでいきますが、お付き合いくださると嬉しいです (2019年6月10日 23時) (レス) id: 27a8873f76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年6月7日 21時