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悪食11 ページ12

タ「良いのか?」



貴「好きにしてよ」



真っ暗な心に残る真っ赤な傷。



耳に残る君の爽やかな声。



抱きしめてくれたあの腕。



タ「…っ」



貴「なに」



冷たい頬を伝う温かい涙。



あ…れ?



なんで私…。



タ「泣いてるんだ?」



貴「え…」



タ「…」



よく見ると彼の瞳にも涙が浮かんでいるように思えた。



貴「タタラの思い通りだよ。



なんで泣いてんの」



タ「…」



貴「私を妻として迎え入れるんでしょ。



もう準備してれば?」



タ「っ…」



貴「いいじゃん…っ。



もう…全部タタラのお望み通りなんだよっ…」



真っ白なシーツに垂れる涙。



それはどちらのものか分からない。



貴「私は…悪いけどさ…。



諦め悪いから…っ…まだ月山を好きだよ。



それでも…っ…



私はタタラといてドキドキした事…とかあるし、



胸が高鳴ったりもした…っ」



私の告白にタタラは瞳を大きく見開かせた。



貴「でも違うのっ…タタラに対する鼓動と…。



月山に対する鼓動は全然違う。



───なの…っ!」



そう言い私はタタラの肩を力一杯に掴んだ。



タ「なっ…」



タタラの体はぐらりと揺れ、



先ほどとは逆の立場となった。



つまり、私がタタラに馬乗りしたのだ。



貴「あいつだけなの…っ!!



ドキドキしてっ…側にいたいと思うのは!



タタラじゃないっ!!」



はっきりと叫んだ。



貴「私はもうあいつの隣には居れないけど!



あいつといた時間は無くなるわけじゃない!



過ごした日々が消えるわけじゃないから!



だからっ…



だから私はっ…」



タ「……ん」



ふと優しいぬくもりに包まれる。



タ「すまない」



貴「え」



タ「もう良い、泣かないでくれ」



タタラに初めて優しく抱きしめられた。



タ「好きになったのは泣いてるお前じゃない。



すまない…泣かせたのは俺だが」



耳元でつぶやかれる贖罪。



タ「月山のことは俺が必ず元通りにする。



せめてっ…。



…それまでは俺の側にいてくれないだろうか」



貴「タタラ…」



先ほどとは別人のような優しい声。



貴「わかった…」



タ「…ゆっくりしてくれ、飯は俺が作る」



貴「いいよ、一緒に作ろ。



最後くらい思い出作りさせてあげる」



タ「…っ…ああ」



貴「なに作る?」



タ「適当で」



貴「わかった、タタラも手伝って」



窓から柔らかな風が二人の髪を揺らした。

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設定タグ:東京喰種 , 月山習 , タタラ
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(プロフ) - さなさん» やっとログイン出来たので記念編として今日から更新します!タタラさんとのオチも書かせていただきますね〜! (2018年4月10日 20時) (レス) id: b85cd0b74a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 名無しさん» ありがとうございます、やっとログイン出来たので記念編を書こうと思います!! (2018年4月10日 20時) (レス) id: b85cd0b74a (このIDを非表示/違反報告)
さな - なんか、月山さん好きでこの小説読ませて頂いたのにタタラさんに惚れましたわwwwタタラさん切ない、、素敵な小説でした!タタラさん落ちも見たいなー (2017年3月30日 1時) (レス) id: 17b73b6934 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - とても感動しました。エトが結婚式に来た時に涙が...人を泣かせる事の出来る物語が書けるって羨ましいです。これからも頑張って下さい。応援してます。 (2016年3月29日 9時) (レス) id: dfa230fb2a (このIDを非表示/違反報告)
桜果(プロフ) - 泣きましたわ(´;ω;`)ブワッ (2015年10月3日 21時) (レス) id: 8c1145e0ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他2人 | 作成日時:2015年3月20日 16時

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