【名探偵コナン】裏切者はアイツのお気に入り (ページ13)

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目が覚めると
頭痛と目が腫れてる感覚に襲われる。

こめかみを押さえながら
昨日の記憶を思い出そうとしていると

昴さんが横で椅子に座ったまま
寝ているのに気付く。

えっ、なんでここに！？

確か昨日は
昴さんとお酒を飲むことになって……。

大泣きして抱きしめられたことを思い出す。

記憶がない方がまだよかった。

眠っている間
ずっと何かを掴んでいたようで
軽く引っ張ると、それは昴さんの袖だった。

もしかして
昴さんがここで寝てるのは
私のせい……？

自分がこんなことをすると思わなかった。

でもどうして
私の手を引き離して
ベッドで眠らなかったんだろう？

椅子に座ったまま寝るなんて
それこそ身体に悪い。

今さら起こすのも悪い気がして
部屋にあった毛布をかけてやる。

「……バカ」

「目覚めの挨拶で“バカ”と
言われたのは初めてです」

まさか起きていたのは思わなくて
肩がビクンと跳ねた。

「……お、おはようございます」

「よく眠れましたか？」

「……おかげさまで」

「それはよかった」

隈が酷い昴さんには申し訳ないけど
こんなにぐっすり眠れたのは久しぶりだった。

「あの、すみませんでした……。

あんな醜態晒して、
オマケに無意識に掴んでいたようで」

「私の前では我慢しなくていいんですよ。

泣きたい時は泣いて、
辛い時は辛いと言ってください。

昨夜のように
本心を曝け出したあなたの方が好きですよ」

なんでこの男は朝早くから
こんな甘い言葉が出てくるのか……！

色恋沙汰に免疫のない私は
どう反応していいか分からなくて

その場から逃げるように
洗面所へ行った。

「昴さんのバカっ！」

＊

俺が朝食を取る頃
Aはシャワーを終えたばかりだった。

昨夜の面影はなかったが

バスローブから見え隠れする胸元
少し赤く火照った頬
まだ湿っている髪

そんな彼女の姿が艶かしく感じた。

「昴さんに郵便が届いていましたよ」

「私に、ですか？」

「ええ。
……どうかしましたか？」

「……いえ、ありがとうございます」

“沖矢昴”に郵便物を送る者は
周りにいないはずだが。

俺が変装してここに住んでいると知っているのは
ボウヤに工藤夫妻、阿笠博士だけだ。

それなのに、
なぜ“沖矢昴”宛ての手紙が届く？

名無しの権兵衛かと思いきや、宛先を見ると
ご丁寧に送り主の名前が書かれていた。

ーーーー“レリック・ノーテス”、と。