パパが治してあげようね *ARS* 9 (ページ36)

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二人目のお癒者さん　6　(翔) ページ36

和也Side

初めてだよね。

翔「んん…も、いい……
どーせ、治らないもっ…げほげほっ」

結「しょーちゃ、いいこね～
もしもしよ～」

ゆいちゃんになだめられている翔にぃを見るのは。

智にぃに聴診されながら駄々をこねている翔にぃの頭を
撫でてやっているゆいちゃん。

マスク付けて枕元に正座してさ。
冷えピタが貼られたおでこ、よしよししてやってんの。

本当は翔にぃの部屋には入れたくないんだけどね～
風邪移っちゃったら大変だから。

でもゆいちゃんが翔にぃのところに行くって聞かないから。
翔にぃもゆいちゃんを求めてるみたいだし。

智「治らないことないよ。
早く元気になるためのもしもしだからね。
ね～、ゆいちゃん?」

結「うん!! そーよ、しょーちゃ」

翔「もうやだって…やだ…」

智「あっ、ダメでしょ～? 手はしまっておいてね。
ゆいちゃ～ん、おててぎゅってしてあげて～?」

智にぃの邪魔をしだした翔にぃの左手を
ゆいちゃんの小さな手がぎゅって掴む。

智「翔、よかったね～
ゆいちゃんに優しくしてもらってうらやましいな～」

誰かの役に立てているっていうのは、気持ちのいいことだよね。

今ゆいちゃんは使命感にあふれてるんじゃないかな(笑)

ニコニコ笑って嬉しそう。

そんなゆいちゃんに手のひらを
もみもみぎゅっぎゅされてる翔にぃは、
潤んだ目でゆいちゃんを見つめてる。

いくら身体が弱っているといっても
ゆいちゃんの手を振りほどけるくらいの力はあるはず。

でもそれをしないのは
ゆいちゃんに触れていてもらいたいって気持ちがあるからなんだろうね。

智「はーい、いいよ～。喘息は大丈夫そうだね。
念のため薬は枕元に置いておこうか。
苦しくなってきたらすぐに言うんだよ? いい?」

翔「……っこ…」

智「ん? わかった?」

翔「…だ……っこ…」

智「ああ。はい、わかったよ」

翔にぃの口元に耳を近づけていた智にぃが
ニコって笑って翔にぃの脇に手を入れる。

前はゆいちゃんの前で弱いところを見せるのを嫌がってたのにね。

今はそんなこと気にする様子もなく
智にぃの腕の中で安心しきった顔してる。

こういう時くらいしか甘えられないもんね、翔にぃ。

結「かじゅく…だっこぉ…」

和「ん、はいはい。ほら、よいしょ～」

翔にぃにやきもちをやいたのか
俺に両手を伸ばしてくるゆいちゃんを抱き上げる。

寝息を立て始めた翔にぃを起こさないようにゆっくり部屋を出た。