パパが治してあげようね *ARS* 9 (ページ35)

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二人目のお癒者さん　5　(翔) ページ35

智Side

結「しょ…ちゃ……」

智「翔ちゃんね～。起きたらまたなでなでしてあげようね」

僕の腕の中で翔の名前を呼んでいたゆいちゃんも
トントンしてるとあっという間に夢の中。

ふと視線を感じて目線を下に移すと
翔がゆいちゃんのことを羨ましそうな目でじっと見つめていた。

「ん?」って顔で微笑んでみたけど
翔はすぐに目をそらし、寝返りをして僕とは反対の方を向いてしまう。

もう…そんなことしたらバレバレじゃない。
ほんと、わかりやすい子(笑)

智「一日ゆいちゃんの面倒見てくれてありがとね。
一人で相手するの大変だったでしょ。
ゆいちゃん元気だもんね。
ずっと頭痛かった? 辛いときに任せちゃってごめんね」

翔「んー…ん…」

智「ありがと。一日楽しかった。
翔のおかげだよ」

大変なんかじゃないって首を振る翔の背中に
手を当てながら話しかける。

最後に「くる?」って顔の前に両手を差し出すと
一瞬真ん丸な目で僕を見てきた翔は、またすぐに目を伏せてしまった。

ゆいちゃんは僕の子供のようなもの。

翔だってそうだよ。

…なんてこと言ったら怒られるかな(笑)
俺は子供じゃない!!って。

でも、翔はいつもお兄ちゃんしてくれてるから。
たまにはいいよねって思うんだ。

翔のお兄ちゃんは僕だけ。

なら弟の君が兄の僕に甘えるのはおかしい事ではないでしょ?

智「翔……ほら……」

髪をぽんぽん撫でながら、もう一度手を差し出してみる。

恥ずかしがってるのか目線は僕に移らなかったけど
発熱して熱くなった手が、僕の指に触れて…

人差し指と中指の先を、弱々しくだけどキュっと握ってくれた。

これはさ、いいよっていうことだよね?

もう僕我慢できないよ?(笑)

智「翔がいるから、僕はお兄ちゃんをしていられるんだよ。
いつも助けてくれてありがとね。
…おやすみ」

翔の方が身体が大きいから
上半身だけしか抱きしめられなかったけど…

でも、気持ちでは全身包み込んでるつもり。

今の翔は、弟の顔をしてるね。

熱も高いのに無理させちゃってごめん。

翔だって弟になりたいときくらいあるよね。

智「ふふっ…しょおちゃん」

つい出てしまった言葉に顔が綻びながらも
責任感の強い翔はいつも無理してるんだよな…って、複雑な気持ちになる。

智「たまには甘えてよ。
僕、待ってるんだから…」

髪を撫でながら、穏やかな寝顔の翔にそっとつぶやいた。