パパが治してあげようね *ARS* 9 (ページ30)

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転落事故　9　(智) ページ30

翔Side

ご飯の前に仕事終わりにしちゃおうと思ってたのに
もたもたしてたらうるさいのが来てしまった(笑)

こいつはほんとに元気だよな～
智にぃが目を覚ます前、毎日泣いてたやつとは思えない。

本当にいい顔で笑うからさ、俺らもつられて笑っちゃうんだよ。

翔「雅紀、ご飯ちょっと待ってくれる?
智にぃご飯の前にやることあるから」

雅「え、そうなの?」

智「やることなんてないよ。
ご飯食べよ、雅紀。翔なんて無視して」

まったく、もう。
今回の智にぃは手がかかるね。

まぁ、どんどん我がまま言ってくれていいんだけどさ。
その方がみんな嬉しいだろうし。

でも俺も仕事しなきゃないから。
ガーゼの交換くらいはさせてよ(笑)

結「あっ!! さとぉ～～」

智「あれ? ゆいちゃん?
あ、Aも。和もきたの?」

和「雅にぃが忘れ物するから届けにきました～
雅にぃ、大事なもの置いていくんだもん」

雅「あ!! ごめ～ん、忘れてた」

こうなったら強行しちゃえと思って布団をめくろうとしたとき
元気な声と共に病室のドアが勢いよく開けられた。

3人で智にぃの着替え、持ってきてくれたみたい。

翔「よかったね～、智にぃ。
これでみんなに良いところ見せられるよ。
ガーゼ交換くらい良い子に頑張れるよね。
はい、ぽんぽん見せて～」

ずるい作戦をとった俺を
むぅ～って顔をして見てくる智にぃ。

完全に俺に遊ばれている智にぃを見て
和と潤は笑いを堪えている。

結心と雅紀は「頑張れー」って応援。

Aは傷口を見るのが怖いのか
和の後ろに隠れちゃったけどね(笑)

翔「よ～し、ガーゼ剥がすよ。
治り具合はどうかな。ちょっと触るからね」

智「んっ、うああ!! 痛い痛い!!」

翔「えっ!? …え??」

そ、そんなに痛かった…か?
ちょっと触れただけなんだけど…

和「翔にぃダメじゃ～ん、もっと優しくしてあげなくちゃ」

潤「そーだ、そーだ～。雑なんじゃないの?」

雅「智にぃ大丈夫? 翔にぃ酷いね～」

智「へへっ。翔先生へたくそ～」

あ、あぁ…なるほどな。

俺が智にぃで遊んでたと思ってたけど
実際は俺が遊ばれてたってことなのね。

でもいいんだ。
みんなの良い顔が見れたから。

誰か一人でも欠けると、この笑顔は見れないんだよな。

すごい居心地良いんだよ、今。
早く我が家にも、この空間を持ち帰りたい。

今すぐには無理だけど、すぐに帰してあげるから。
それまではここで、思う存分甘えてよ。