パパが治してあげようね *ARS* 9 (ページ15)

今日:20 hit、昨日:23 hit、合計:819,747 hit

斗真先生の診察　3　(結心) ページ15

和也Side

ちょうど同じ時間に終わった智にぃと急いで家に帰ると
ゆいちゃんはリビングに敷かれた布団の上で丸まっていた。

寝ているのかと思って顔を覗き込んでみたんだけど
閉じていると思っていた目はパッチリ開いていて。

ニコって笑った俺の顔を
ゆいちゃんはユラユラした目で見つめてきた。

和「ゆいちゃん、ただいま。
お昼寝してたの? これからねんね?」

しゃがみこんでいろいろと問いかけてみるも
ゆいちゃんからは何の言葉も返ってこない。

Aによるとさっきまで寝ていて
今起きたばかりなんだとか。

寝起きだからまだぼけーっとしてるのかな。

和「鼻水やだね。ちょっと苦しそうだなぁ…」

完全に鼻が詰まってしまっているのか
口を開けて呼吸をしているゆいちゃんは、
時折鼻をすすっては咳き込んでいる。

だいぶ酷くなっちゃったみたいだね…
昨日のうちに診てやるべきだった。

和「お…どうした?
抱っこがいいの? 和くんお着替えしてこなきゃなんだよ～
智にぃに抱っこしてもらおうか。ね?
ねぇ、ちょっとゆいちゃん、いい?」

急に目に涙を溜めはじめて
俺に手を伸ばしてきたゆいちゃん。

すぐに抱っこしてもらえないのが嫌だったのか
手をバタバタしながら泣き出してしまった。

俺、手洗いもまだだしさ。
外を歩いてきた服だから着替えてこないと汚れてるし。

先に智にぃが着替えを済ませたみたいだから
ゆいちゃん任せようかな。

結「ふぇっ…ふぇっ…さ、とぉ…」

智「はあい。よいしょっと…ほら、抱っこだよ。
和くんすぐ戻ってくるからね～」

最近智にぃのことをサトとか智にぃとかって呼んでいるゆいちゃん。

俺らが智にぃって呼んでるから、同じにしたかったみたい。

ずっとパパって呼んでるのもどうかと思ってたから
自然に変わってくれるのならその方がいい。

智にぃに手を伸ばして抱き上げてもらったゆいちゃんは
肩に顔を埋めてヒックヒック泣いてる。

声をだして大泣きするのはよくあることだけど
静かに大泣きするのは珍しい。

それだけ身体が辛いってことなのかな。

んぅ…んぅっ…って弱々しい声を聞いていると可哀想になる。

すぐにでも治してあげたいけど
今回の鼻風邪はたいぶしつこそうだよ。