松岡先生のお説教 1 (翔) *リク ページ13
智Side
和「もっとちゃんと吸ってよ〜
そんなんじゃ薬入らないって」
ドアの前に立った時に聞こえてきた和の声。
また言うこときいてないんだなぁ
と思いつつ部屋の中に入ると、
背中にクッションを入れて壁に寄りかかっている翔と
吸入薬を手にした困り顔の和が目に入った。
智「またイヤイヤ言ってるんですか、翔くんは」
翔「ん…ちげぇよ…」
僕の顔を見て、バツが悪そうに目をそらした翔。
その横では和が違くないでしょって笑ってる。
智「そんなに嫌い? この薬」
翔「……きらい」
智「何が嫌なの。ちょっと吸うだけでしょ?」
翔「なんとなく…きらい…」
和「なんだそれ(笑)」
言い訳するならもっとまともなこと言いなさいよ。
なんとなく…って。
頭いいんだから、
もうちょっと説得力のある言葉を選んでほしいもんだね(笑)
智「なんとなく嫌でも、
ちゃんと吸っとかないとまた苦しくなるよ?
入院するのは嫌だっていったのは翔でしょ。
自宅療養を許可したときに約束した条件は?
覚えてるよね。
はい、一つ目どうぞ?」
昨日の夜、久々に喘息の発作を起こした翔は、
まだケホケホと咳をしながらも
僕との約束を思い出しているようだった。
ボソボソとつぶやきながら、
目線を上に向けている。
智「症状が治まるまでは?」
翔「……おとなしくしてる」
智「うん。もしまた大きな発作が起きたら?」
翔「……入院して絶対安静」
智「じゃあ最後。そうならないために?」
翔「……くすりの…服用を忘れない」
智「と?」
翔「医者の言うことを聞く」
智「ん。なんだぁ〜、全部覚えてるじゃない」
僕の言葉に続いて素直に答えていく翔に、
つい笑いそうになる。
それでも大事な話をしているわけだから
顔は真剣な表情を作りつつ、
約束を守れなかったら入院になっちゃうよと言うと、
翔は唇を突き出しながら
不満そうにうつむいてしまった。
智「弟だからって困らせることばかり言わないで、
ちゃんと言うことを聞くこと。
それができないなら、
翔の病院の呼吸器の先生に診てもらうんだね。
それならわがままも言えないもんね?」
それは嫌だって顔で僕を見てくる翔。
大丈夫、最初からそんなつもりはないから。
ただ、これくらい厳しくしておかないと、
翔は喘息を甘く見過ぎているから。
今の状態じゃ、
またいつ発作が起こるかわからない。
僕はそれを、防いでやらなきゃいけないんだ。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
