パパが治してあげようね *ARS* 6 (ページ21)

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しょーちゃん、行っちゃダメ!!　9　(結) ページ21

智Side

智「はい、ジュースだよ。
ゆっくり飲もうね～」

ストローからちゅーちゅーと
ジュースを吸ったゆいちゃんは、
またぐったりと僕の胸に寄りかかってくる。

急に泣き出しても、それが続くのは数分程度。

今の体力を考えたら、それが限界なんだ。

智「ねぇ、ゆいちゃん・・
翔ちゃん、いつ帰ってきてくれるかなぁ。」

結「んぅっ・・しょーちゃぁ・・」

また泣かせるのは可哀想だと思いつつ、
わざと翔の名前を出して
ゆいちゃんが話し出すきっかけを与えることにした。

今度こそは、ちゃんとゆいちゃんが言っていることを、
理解してあげたいから。

智「翔ちゃんがどうしたの?
何かあったの?」

結「んっ・・しょ、ちゃ・・がおー、がぁ・・ふぇっ」

朝から何度も言ってるよね、これ。

がおーって何だ?

智「がおーが? どうしたの?」

結「ぱっ、くぅ・・ここ、ね・・
・・しょ、ちゃ・・たいたい、って・・」

智「ん～?」

いくら考えてみても、思い当たるようなことがない。

ただ、話しながらゆいちゃんが首を指さしていたから、
ここが何か関係しているってことはわかった。

たいたいっていうのは、痛いってことで合ってるかな。

がおーが・・首を・・?

ぱっくん?

で、“痛い”でしょ?

ん～・・ん?
もしかして、あの時の・・・

智「ゆいちゃん、
がおーが翔ちゃんのここ、ガブってしたの?」

結「ふぇっ・・やっ、やっ!! がおー、めっ!!」

怯えたように泣き出したゆいちゃんを見て、
僕はようやく確信した。

やっとわかったよ。
そりゃ、怖いわけだよね。

翔がライオンに噛まれて、
死んじゃう夢を見たわけだから。

智「ゆいちゃん?
翔ちゃんはね、ライオンさんに食べられたりしないよ?
お外にライオンさんなんていない。
幼稚園に行くときも、お散歩した時も、
一度も会ったことないでしょう?」

僕の言葉に、首を振っているゆいちゃん。

まだ頭が混乱してるんだろうね。

夢と現実がごちゃまぜになってるだろうから。

おそらくゆいちゃんは、
昨日の晩、この夢を見たんだろう。

思い返してみれば、夜泣きしたとき、
“翔ちゃん”って言ってたもんね。

今日の朝翔を見て大泣きしたのも、
夢のことを思い出したから。

翔ちゃんが死んじゃう。

お外にいくとライオンさんに食べられちゃう。

そんな不安を紛らわしたくて、
翔を失うのが怖くて、
必死に翔にしがみついていたんだろうね。