パパが治してあげようね *ARS* 5 (ページ44)

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食べたくない　9　(雅) ページ44

翔Side

智「あぁっ、まさき!!」

翔「ちょっ、ばかっ!!」

雅「んっ、うっ!! ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ!! うぇっ・・んっ!!」

油断した・・・

まさか自分で引き抜くとは思っていなかった。

苦しさにパニックになっていた雅紀が落ち着く前に、
2人して手を離してしまったのが間違いだったな・・・

無理やりチューブを引っ張ったから喉が刺激されちゃって、
思いきりえずいてしまった雅紀は
涙を流しながら咳き込んでいる。

抜かれたのは少しだったし
すぐに戻したから平気だったけど、
突然の強い吐き気は、かなりのダメージだったようで・・・

雅「あっ、あぁっ!! んんっ!!」

翔「おいっ、ちょっと手・・・
まさき、触っちゃダメ。
手出したらダメだよ～」

まだ何かされると思っているのか、
必死で俺らの手を払おうとする。

これはもう落ち着かせるより、
早く固定を終えてあげた方がいいな。

智「テープ貼るだけだよ。
ほら、ここにぺったんって。」

雅「んあっ、やっ・・いたいっ!!」

翔「痛くな～い。
ほーら、もう終わったぁ。」

雅「やっ、だっ!! いたいっ・・・」

翔「まさき～、おしまい。
目開けて? 俺の顔見てごらん?
ほら、おーしーまい。な?」

鼻と頬にテープで丁寧にチューブを固定し、
周りが見えていない雅紀の両手を、ぎゅっと握る。

しっかりと目線を合わせて、
薄く開いた目に溜まっていた涙を拭ってやって・・・

ようやく呼吸が整ってきたころに、
握っていた手をそっとはなしてやった。

終わったよ、って安心させてやりたいのもあったけど、
またチューブを抜いてしまわないための、
固定の意味もあったから。

今はもうちゃんと目も合うし、落ち着いてるから、
自分で抜いてしまうことはないだろう。

ただ、違和感があるようで、何度も顔はしかめてるけど。

まだ涙でぬれている頬に長いチューブが張り付いていて、
やけに痛々しく見える。

普段仕事で見慣れているはずなのに、
それが弟だというだけでこうも違うとは。

智「疲れちゃったね～。
いっぱい頑張ったから、ゆっくり休もう。」

体力を使い切ってグッタリした雅紀がうとうとしだしたのを、
智にぃが優しい笑顔で見守っている。

それを見て、今自分がすごく
険しい顔をしているのに気付いた俺は、

慌てて顔の強張りを解いて
目を閉じた雅紀の髪をそっと撫でた。