パパが治してあげようね *ARS* 5 (ページ43)

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食べたくない　8　(雅) ページ43

智Side

雅「やだっ、やだっ」

翔「ん? まだ何もしてないよ、雅紀。
ほーら、大丈夫。
な。怖くない、怖くない。」

僕に頭を押さえられて一気に恐怖が増したのか、
一度は管を入れることを承諾してくれた雅紀も、
再び泣き出してしまった。

翔が軽く顔に手を触れて鼻の中をのぞいただけで、
いやいやと首を振って逃れようとする。

体力が落ちているから、大きな声を出すことはない。

身体の動きを抑制するのも簡単だ。

だから雅紀は、
ほとんど抵抗もできずに涙を流すことしかできなくて・・・

普段ならちょっと厳しいことを言う翔も、
今回ばかりはひたすら優しく接してあげている。

少しでも負担を減らしてやりたいと思っているんだろう。

今の雅紀に厳しいことを言うのは、
ちょっと酷すぎるから。

翔「よし、左でいこう。
まさき、鼻にゼリー塗るよ?」

雅「んっ、んっ!! いたいっ!!」

翔「ん～? 痛かったかぁ～?
痛いの少なくするゼリーなんだけどなぁ。」

智「もう平気だよね。ほら、痛くない。」

翔がチューブにゼリーを塗っている間に、
雅紀の涙を指で拭いながら
少しでも恐怖が減るように視界を遮ってやる。

あんなに長い管を見て、怖がらないはずがないから。

雅「さとにっ・・・やりたくないっ」

智「ん。大丈夫、大丈夫。
あとはね、スルスルって入れるだけだよ。」

翔「すぐに入っちゃうからな～
ちょっとだけ頑張ろう。」

管を持った翔が近づいてきて、雅紀の我慢も限界。

最後の力を振り絞って逃げようとする頭を
手に力を込めて押さえているうちに、
翔がためらいなく鼻にチューブを入れていった。

こんなところに異物が入ってきて苦しくないわけがなくて、
痛みに顔を歪めながら反射で何度もむせている
雅紀の目からはボロボロと涙がこぼれてくる。

翔「まさき、ごっくんしてごらん?
ちょっと苦しいけどここだけ我慢な。
ほら、ごっくん、って。」

智「まさき、ごっくんだよ?
できるかな～・・・・・ん、よぉし。上手。」

声を聞く余裕がない雅紀に耳元で話しかけてやると、
ようやくゴクンと喉が動いて
その隙に翔が一気に胃までチューブを進めてくれた。

すぐに聴診器を付けてお腹の音も確認してくれて、
無事に終わったことに僕も一安心。

チューブが抜けないように
早くテープでとめてしてしまおうと、
雅紀の頭を撫でてから、固定の手を外した。