パパが治してあげようね *ARS* 5 (ページ40)

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食べたくない　5　(雅) ページ40

翔Side

翔「雅紀、ちょっとでもいいから食べようよ。な?
ほら、雅紀の好きなプリン買ってきたんだよ?」

雅「やだ・・・」

翔「痛くないように食べさせてやるから。」

雅「やだっ・・・たべない・・・」

雅紀が食事を完全拒否するようになったのは、
2日前のこと。

ゆいにおかゆを食べさせてもらっているとき、
雅紀が声を上げながら身体をビクンと跳ねあげたんだ。

嫌々食べさせられて
ほんのちょっとしか口を開けてくれなかったから、

ゆいがその隙間めがけて
勢いよくスプーンを入れてしまってね・・・

運悪く、出血するほどの強さで
スプーンが口内炎に当たってしまったんだ。

痛みに驚いた雅紀は、そのまま思いっきりむせて、
口の中のおかゆと少量の胃液を吐き出した。

もともと胃の中にほとんど物が入ってなかったから、
空えずきを繰り返しちゃって、かなり苦しかったんだろう。

口内炎が悪化したことによる痛みと、
嘔吐のトラウマのせいで、
まったく物を受け付けなくなってしまったんだ。

俺が一瞬でも油断してしまったから・・・

智にぃも、僕が無理させたから・・・って
自分を責めてたけど。

でも、あそこでは誰だって、
智にぃと同じことを言ってただろうから。

だから、智にぃが悪いわけじゃない。

もちろん、ゆいが悪いわけでもない。

ゆいには悪気はなかったし、
雅紀もゆいのせいだなんて思ってないだろうしね。

泣き出しちゃったゆいに、
大丈夫だよって言ってやってたから。

ありがとう。おいしかったよ。ってさ。

もう体力も限界で、声を出すのでさえつらいだろうに、
微笑んでゆいを安心させてやってるところ、
さすがだなって思ったよ。

おかげでゆいは落ち着いたし、
そんな2人を見て俺らも安心してたけど、
問題は思った以上に深刻で・・・

3日経っても4日経っても、雅紀は何も食べてくれない。

かろうじて水分は取ってくれてるけど、
酷い口内炎のせいで
一日に必要な水分量を摂取することは難しい。

そんな状態で体調が回復するはずもなく、
微熱は下がらず、貧血の症状も強く出てきてしまった。

自分たちのせいだという思いから、
できるだけ自宅療養で
負担なく治してやろうと頑張っていた俺らも、

雅紀の衰弱のようすから、
さすがにもう決断を遅らせることはできなくて・・・

これだけはしたくなかったと思いつつも、
入院治療を選ぶしかなかった。