食べたくない 3 (雅) ページ38
智Side
雅紀が熱をだしたと聞いて、朝部屋をのぞいてみると、
雅紀は大きく胸を上下させながら眠っていた。
まだ熱は下がってないみたいだ。
眠っているのに、表情も険しく見える。
智「かわいそうにねぇ・・・」
ベッドサイドに置いてあったタオルで額の汗を拭っていると、
眠りが浅かったのか、雅紀がゆっくり目を開けた。
焦点は定まってないし、僕と目も合わないから、
肩を軽く叩きながら声をかけてみる。
雅紀?っていう呼びかけに、
ゆっくりと僕の方に顔が向いて、ようやく雅紀の口が動いた。
雅「あ・・・さとに・・・」
智「おはよう。まだボーっとするね。
寒くはない?」
雅「ん・・・」
熱は上がりきったみたいだけど、
赤く潤んだ目と荒い呼吸から、
体温計をはさまなくったって高熱だってことがわかる。
熱い息を吐き出しながら、辛そうに目をつぶった雅紀。
どこかに痛みがあるのか、
何度も眉間にしわを寄せながら、時々短く声をもらしている。
智「頭痛いの?
ズキズキする?」
雅「うん・・・いた・・い・・」
智「喉は? ちょっと診とこうか。」
雅「んーん・・・へーき・・・」
智「ふふっ。平気か。
じゃあ念のため。あーって開けて?」
雅「んぅ〜・・・」
智「まさき? 少しでいいから。」
拒否されるのは毎回のことだけど、
今回は抵抗する元気もないのか、
軽く頭を押さえて顎を引けば、簡単に口が開いてしまう。
診る方としては楽だけど、
これだけ抵抗がないと、それはそれで心配になる。
智「ん〜、ちょっと赤くなってるかな。
・・・ん? これは、いつから?」
雅「あっ、いはいっ!!」
智「おぉ・・ごめんごめん。」
口の中にできた大きな口内炎。
他にもいくつかあるようだけど、
少し頬を引っ張っただけでこの反応だと、
痛みもかなりあるんだろう。
下瞼をめくってみれば貧血も疑われる。
これはだいぶ前から調子悪かったんじゃないかな。
智「頑張りすぎちゃうね、雅紀は。」
雅「ん・・・ごめ・・・」
智「でも、それが雅紀のいいところでもあるからね。
ただ、行き過ぎると今回みたいに辛くなっちゃうから。
頑張るのも、ほどほどに、ね。」
頭を撫でながらそう言ってやると、
雅紀は小さく頷きながら再び眠りに入っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 458人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちさ
| 作成日時：2013年3月23日 18時
