パパが治してあげようね *ARS* 5 (ページ25)

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0歳のママ　2 ページ25

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順調にお腹の子も大きくなって、予定日まであともう少し。

相変わらずのおにぃ達とゆったりした日々を過ごして、

一緒にベビー用品買いにいったり、
赤ちゃんとの生活に備えて部屋を模様替えしたり・・・

充実したマタニティ生活を楽しんでた。

でも、出産を間近に控えると、
心の中は楽しみより不安なことばかり溜まっていく。

ものすごく痛い出産を、
痛みに弱い私が耐えられるのか。

それももちろん不安だけど・・・

でも、今私が一番心配なのは、そのことじゃなくて・・・

この子が将来、産まれなければよかったって思ったらどうしよう。

最近は、こんなことばかり考えるようになった。

人任せで一人では何もできないお母さんで、いいのかなって。

こんな風に今になって不安になってしまっている自分も嫌だ。

父親はいない。母親は頼りない。

もっといい家庭に産まれたかったって、思ったら・・・

赤ちゃんは親を選ぶことはできないんだから。

私の勝手な思いだけで、
決めちゃいけなかったんじゃないかな・・・

この子を不幸にさせちゃうかもしれないって思ったら、
私の決断は正しかったのかなって、疑問で頭が埋め尽くされる。

考えれば考えるほど深い沼に引きずり込まれていって、
抜け出せなくなってしまった。

智「ん? A、ご飯食べないの?」

「え? ううん。ちょっと考えごとしてただけ。」

一人で家にいるときも、おにぃとご飯を食べるときも、
ついそのことを考えてしまう。

あまりボーっとしていると心配かけちゃうから
気をつけなくちゃとは思っても、どうしてもうまくいかない。

無理やり作った笑顔が自分でも引きつっているのがわかって、
おにぃから顔をそらすことも多くなった。

翔「ちゃんと食べろよ～
サラダ、取ってあげようか?」

「う、うん。ありがと。」

無理やり夕食を胃に流し込んで、
できるだけいつも通りをよそおってリビングで過ごして・・・

ようやく一人になった布団の中で、
固まったように上げっぱなしだった口角をおろした。

気を使わずに済んでホッとしたのと同時にやってくる焦りと不安。

怖いほど静かで真っ暗な部屋では、
湧き上がってくるものを抑えることができず、
ボロボロと溢れ出てしまった。

一人背中を震わせて、枕をぬらして、
乱れる呼吸を隠すこともなく泣き続ける。

このとき私は、
背中に温かい手が触れていることに、気付く余裕もなかった。