パパが治してあげようね *ARS* 5 (ページ26)

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0歳のママ　3 ページ26

智Side

最近、Aの様子がおかしいとは思ってた。

それはほかの4人も同じだったみたいで、
Aが部屋に戻った後に、みんなの目が僕に集中した。

言いたいことはわかってる。

みんなで部屋に押しかけても、
よけいに負担をかけるだけだからね。

だからみんな、僕に任せてくれたんだと思う。

本当は、自分がそばにいてやりたいって、
思ってただろうけど。

みんなの思いを無駄にしないためにも、
なんとかしていつものAに戻してやりたい。

でも、あの子が悩みを抱えているとして、
僕はどうしてやることが正解なんだろう。

聞き出すにも、
方法とタイミングを間違えば逆効果になる・・・

そんなことを考えると、
Aの部屋の前でドアノブに手をかけながら、
なかなか動けなかった。

今日はもう寝てるかもしれないし、
明日にしようか・・・

そう思ってドアに背を向けたとき、
一瞬Aの声が聞こえて立ち止まった。

あまりにも苦しげなその声に
ためらっている暇はなくて、

Aを驚かせないようにだけ気を付けてそっとドアを開けた。

僕に背を向けているから顔は見えないけど、
背中の震え方と漏れる嗚咽があの時の・・・

先が見えなくて自分を責めていた時のAと重なって・・・

せっかく、あの男のことも吹っ切れて
前向きにお腹に宿る命と向き合えるようになったのに、
この子はまた何を抱えているのだろう。

智「A・・・・・」

名前を呼ぼうと出した声が自分でも驚くくらいかすれていて、
詰まったような違和感のある喉をゴクンと鳴らした。

僕も、戸惑ってるんだな・・・

今までが落ち着きすぎていたのかもしれない。

いや、僕らが勝手にそう思っていただけか・・・

甘く考えすぎてた。

Aの受けた傷の深さを思えば、
簡単に今まで通りに戻れるはずなんてないもんね。

「うっ・・んっ、ぅ・・・っく・・」

声を抑えるように泣いているAの肩にそっと触れると
いつもの柔らかさはなくて、

身体を硬くして呼吸を乱している姿に僕の手も震えた。

でも今は、僕の罪悪感なんてどうでもよくて、
Aの心を軽くしてやることの方が先だから・・・

床に膝をついて、布団の小さな隙間から背中にすべりこませた手を、
ゆっくりゆっくり、上下に動かした。