パパが治してあげようね *ARS* 5 (ページ19)

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膀胱炎　8　(翔) ページ19

智Side

膀胱炎とは、また珍しいもんになったもんだ。

おそらく翔も、
まさか膀胱炎になっているだなんて思ってなかっただろうな。

智「病院、行ってこようか。」

翔「えっ・・・・
いい・・・いかな・・い・・・」

智「だって、お腹痛いんでしょ?」

翔「じゃ・・・トイレいったら・・・
・・・いかなくていいでしょ?」

トイレ行ってくれるのは嬉しいけどさ、
僕は検査をしたいわけだよ。

ちゃんと診断して、薬飲んでもらわないと。

熱も高いし、ちょうどいいじゃん。

この高熱は、たぶん膀胱炎のせいじゃないとは思うけどね。

疲れが溜まったからだろう。

膀胱炎になったのも、
過労が関係してるのかもしれない。

智「病院には行かなくちゃ。
お腹が痛い原因調べようよ。」

翔「いい・・・寝てれば・・・」

智「寝てても治らないよ?
ほら、コーくんと約束したんでしょ?
早く元気にならないといけないんじゃないの?」

翔「ん・・・・・・」

おっ、考えてる(笑)

どうやら今の翔には、
こうすけ君の力が必要みたいだ。

智「コーくん、いつも治療も検査も頑張ってるんだよね?
先生がお手本にならないでどうするの?」

翔「ん・・・・・ぅぅ・・・・」

智「行ってこよう。ね?」

翔「・・・・入院は・・・しない・・・」

智「ん。検査終わったら帰ってこよう。
起きられる? 背中、乗せてあげようか?」

半分本気、半分冗談で翔に背中を向けたら、
熱い身体が背中にピタッとくっついてきた。

恥ずかしがって拒否してくるかと思ったけど、
すごく素直だったね。

まぁ、それだけ不安定ってことになるんだけどさ。

智「僕の首に腕まわせる?
よし。ちょっと揺れるからね。」

力の入っていない翔を背負いながら
ベッドから立ち上がるのはけっこう力がいる。

うまく背中に密着させちゃえば、
それほど大変じゃないんだけどさ。

雅「あれ、病院行くの?
・・・ねぇねぇ、智にぃ・・・」

廊下に出たところで出くわした雅紀が
僕に背負われている翔を見て、耳打ちしてきた。

“かわいいね。ふふっ”って(笑)

そりゃ、いつもキリっとしてる翔が
僕の首にしがみついているのを見れば、
そう思うのも当たり前かもしれないけどね。

雅紀は自分が着ていた上着を翔の背中にかけて、
“俺もついてこ～”ってそのまま病院に着いてきてくれた。

優しくて気が利く弟がいて、お兄ちゃんは大助かりだよ。