0歳のママ 9 ページ32
雅紀Side
「んんん゛・・いったい・・・」
雅「大丈夫? 間隔、短くなってきたね。」
「ん・・うぅぅ・・・」
潤「雅にぃ、これ、Aにやって。」
雅「うん。
A、潤がおにぎり作ってくれたよ。
痛みが治まったら食べようね。」
壁に手をついて痛みに耐えている
Aの腰をさすってやりながら時計に目を向ける。
時刻は正午過ぎ。
陣痛が始まってから何時間くらいたったんだろう・・・
陣痛の間隔が10分くらいになるまでは
自宅で様子をみることになったけど、
もうそろそろ、それくらいになる。
「はぁ・・・ふぅ〜。」
雅「止まった? 何か飲む?」
「ん。飲みたい。」
額の汗を拭いながらストローに口を付けて
ゴクゴクとジュースを飲んでいるAの顔は、
驚くほど落ち着いている。
俺が話しかければ笑ってくれるし、
俺らの方が焦ってるんじゃないかってくらい。
今日を迎えるまでは
あんなに陣痛を不安に思ってたのに、
怖いって言って泣きそうになってたのに、
この余裕はいったいなんなんだろう。
母親になろうとしている女性は
男なんかよりずっと強いんだなぁ。
「ねぇ、そろそろさ、智にぃたち帰ってくるかな。」
雅「うん。そうだね。もうそんな時間だね。
ほら、待ってる間におにぎり食べちゃいな?」
あんまり食べたくないなと言いながら
チビチビとおにぎりを口に運んでいるAを見ながら、
そろそろあれの時間だというのを思い出す。
あれっていうのは、
朝から一時間おきにかかってくる電話のことで・・・
潤「あっ、またかよ翔にぃ〜
はい、A。電話だよ。」
「ふふっ。もしもし、翔にぃ?」
仕事があって、どうしても家に残れなかった翔にぃが、
心配して何度も電話をかけてくるんだ(笑)
ちなみに、俺と潤は休み。
智にぃと和は午前診だけだから、
もうすぐ帰ってくるだろう。
そんな中、自分だけAについててやれないから
悔しいんだろうね。
「うん、うん、へーきだよ。
ん? 今ねぇ、おにぎり食べてて・・うっ・・んんっ!!」
潤「A?・・・陣痛来た?」
翔にぃと話していたAが、急に唸りだした。
もしかしたら、
もう陣痛の間隔10分切っちゃってるかもね・・・
雅「A、そろそろ病院行こうか。
潤、車準備してくれる?
翔にぃ、今忙しいから。切るよ? じゃあね。」
なんかギャーギャー言ってるけどいいや(笑)
今は翔にぃよりAの方が大事。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年3月23日 18時
