痛みの在り処 1 (結心) ページ26
翔Side
翔「ど…どうした…その手…」
子どもはよく、予想外の行動をする。
好奇心旺盛で、足も手もよく動いて…
だからこそ怪我をすることも多い。
ゆいの場合は怪我だけでなくて風邪を引くことも、熱を出すことも、年に何度もある。
自宅での簡単なものまで含めるならば、ここ数年の診察の回数は何十…いや、百を超えているかもしれない。
それだけの数の中で、見ず知らずの医者を前にしたことが何度あったか…
そりゃ全く無いわけではなかったけど…その時は必ず俺らが側にいた。
それなのにもし、俺の考えている通りのことがあったのだとしたら。
腫れぼったい瞼とグッタリした様子でAに抱かれて眠る姿に、ドアノブを掴んだまま立ち止まってしまった。
「…おかえりなさい」
翔「ただ…いま。ゆい…どうした？」
ぐるぐると包帯の巻かれた右手は、手の大きさが倍になるほどガッチリと固定されている。
だいぶ長い間、泣いていたんだろうな…
Aの疲れた顔と、ゆいを抱く姿を見るとそう思う。
翔「布団敷こうか？ずっと抱いてるの疲れたでしょ」
「んーん、大丈夫…
あ…あの、ごめんなさい。晩ご飯、まだできてなくて…」
翔「あぁ、いいよいいよ。大丈夫。
なにか出前とろうか」
ラグの上にぺたりと座ってゆいを横向きに抱きかかえているAの腕には、もうほとんど力は残っていないように見える。
身体にぴったりと抱き寄せることもできず、腕を震わせながらなんとか支えている…そんな感じ。
カゴには山盛りの洗濯物…
鍋に溜まった水に、まな板の上には中途半端に皮の剥かれたじゃがいも。
こんな状況で…一人じゃ間に合わないよな。
それでもいつも通りのことをやろうとしてくれていた。
ありがとう、洗濯物は俺がたたんでおくから。
Aは少し休もう。
翔「俺が抱くよ。大丈夫？あ、いいよ、動かさなくて」
疲れた腕をこれ以上使わせないように、Aの膝の上のゆいを俺の方から迎えにいった。
首と膝の裏にそっと腕を入れて、包帯の巻かれた手に気をつけながらあぐらをかいた足の上にゆっくり下ろす。
…少し動かしたくらいでは起きないほど、泣き疲れているんだな。
「…怒らない…の？」
翔「怒る…？どうして？」
なぜこうなったのか…どんな怪我なのかも、まだわからないけどさ。
でもそれは、Aが故意にやったわけではないでしょ？
わざとでないなら、俺が怒る理由なんてないよ。
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ちさ(プロフ) - まーさん» こんばんは、まーさん。お話、読んで頂きありがとうございます。今は7人を順番に書いているのですが、妹ちゃんのお話は次の次か…そのまた次くらいに書く予定でいます。遅くなってしまい申し訳ありません…数ヶ月以内に必ず書きますので、お待ちいただけると幸いです (2017年11月25日 22時) (
レス) id: 3d0d8827a7 (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - いつも楽しみに見てますリクエストお願いしたいのですか、主人公のお話を書いてほしいです！ (2017年11月22日 22時) (レス) id: 8db043ade5 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - サラさん» こんばんは、サラさん。やっぱり怒られてもケンカをしても、ママが大好きなのは変わりませんから。特別な存在ですもんね、母って。ゆっくりになりますがまた更新をしますので、その時にはちょこっと遊びに来ていただけると嬉しいです (2017年10月12日 22時) (レス) id: f493fa2932 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - ゆりあさん» お久しぶりです、ゆりあさん。わー！お腹に赤ちゃんが！おめでとうございます！今は体調は大丈夫ですか？色々と大変なこともある中、お話を読みに来ていただきありがとうございました。無事に元気な赤ちゃんが生まれてきますように…祈っています (2017年10月12日 22時) (レス) id: f493fa2932 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - さくら もなさん» こちらこそ、読んでくれてありがとう。もなちゃん、受験生なんだね。勉強ばかりだと、どうしても身体も心も疲れてきちゃうし、体調崩すとそれでまた焦っちゃったりとかね…。大変な時期だと思うけど、適度に休憩をしながら…。良い結果になるよう、応援しています！ (2017年10月12日 22時) (レス) id: f493fa2932 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2017年8月5日 22時
