小さな命と大きな成長 15 ページ35
智Side
次の日、僕らは子猫を男の子の元へ返す決定をした。
あの子がいなかったら失われていたかもしれない命。
あの子の決意と行動力によって救われた命。
それを無視して僕らの感情を優先したとして、それで本当に幸せなのかなって…
大人たちは気持ちの整理をして納得もした。
でもゆいは…
今のこの複雑な状況を、簡単に理解などできるわけがない。
結「たいよーとふーちゃんは、すててあったの？」
智「そうだよ。それを男の子が見つけてきてくれたの」
少し、猶予をもらった。
二匹とお別れするまであとしばらく…
せめて食事が離乳食主体になるまで…
向こうのお家の準備もあるしね。
だからその間に、ゆいとはたくさんの話をした。
これまでの経緯、お別れの理由、今後の生活。
二匹の新しいお家は温かく優しい場所。
寂しい思いをすることもないよ。
男の子はお祖父さんやお祖母さんと一緒に住んでいて、日中は誰かしらが家にいてくれるんだって。
環境も良いし、安心して暮らせるよって。
ゆいでもわかる言葉で、消せる不安は一つずつ…
そして、ついに別れの日。
翔「ははっ、最後の最後まで元気だなぁ」
皆でお別れができるように、お渡しするのは夜にしてもらった。
全員がそろったリビングで、今日も二匹はいつものようにじゃれあって遊んでいる。
ピンポーン。
この音が、別れの合図。
そのことを、ゆいもわかっていたんだね。
結「たいよー…ふーちゃ…」
遊んで欲しくて寄ってきた太陽と風花を…
抱き上げて…頬を寄せて…
結「…ばいっ…ばい」
必死に涙を堪えながら自らからそう言い、二匹を僕に手渡してからママの胸に抱きついて泣いた。
動物と暮らしていると、いつかはお別れを経験することになる。
その理由は様々だけど、長くても短くても愛情をそそいできたことに変わりはない。
自分より弱い存在を慈しんで抱きしめることも、お別れが悲しくて泣くことも、この子にとっては初めてのこと。
寂しいね、ゆい。僕も寂しいよ。
でも小さな命が残していってくれたのは、『寂しいや悲しい』だけじゃない。
僕にとってすごく貴重で、すごく意味のある時間だった。
きっと、みんなにとってもそうだよね。
また一回り大きくなれた気がするよ、ゆいも僕らも。
大切なことをたくさん教えてくれてありがとう。
最後に…僕らから君たちへの願い、少しだけ聞いてね。
どうか楽しく幸せに。
大きく立派に育つんだよ。
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ちさ(プロフ) - ユーラシアさん» 楽しんでいただけているようでとても嬉しいです。すごく力になりました！遅くなってしまいましたがPart17に移行して新しいお話も更新しましたので、のぞきに来ていただけると幸いです (2016年8月7日 1時) (
レス) id: 10871da05b (このIDを非表示/違反報告)
ユーラシア - とってもとってもとってもワクワクします。私毎回待ちきれないです。頑張ってください (2016年7月29日 20時) (レス) id: 9a340dd8ed (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - まみさん» わ〜嬉しいです、ありがとうございます！そう言っていただけると、お話を書くのがさらに楽しくなりそうです♪ 少しずつ準備を進めて、できるだけ早く更新できるように頑張りますね (2016年7月25日 22時) (レス) id: c91b655369 (このIDを非表示/違反報告)
まみ - いつも見させていただいてます！とてもおもしろくて、はまってしまいました！続編楽しみにしています！ (2016年7月22日 23時) (レス) id: e125ca4219 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - ゆなひろまこまこさん» ありがとうございます。楽しんでいただけて良かったです。できるだけ早く更新できたらと思っていますので、またのぞきにきていただけると幸いです (2016年7月18日 23時) (レス) id: c91b655369 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2016年4月11日 1時
