パパが治してあげようね *ARS* 13 (ページ33)

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グラグラ　7　(結心) ページ33

潤Side

雅にぃの運転で急いで医院にきたけれど、到着して早々問題が起きた。

一つは、すぐにこっちに来てくれるはずだった智にぃが、急患のため来れなくなったこと。
それからもう一つ…

雅「はいはい、タオル。潤の服も汚れちゃたね」

医院から雅にぃが持ってきてくれたタオルを受け取って、汚れてしまった結心の口と顔をそっと拭う。

歯医者に連れて来られたと気づいて、大泣きされちゃってね。
抱いて車から降ろそうとしたら、咳き込んだ勢いで嘔吐。

俺の服にもかかっちゃったけど、着替えるのは後でいいや。
今はそれを考えるより先に、いまだ俺の腕の中で泣き続けてるこの子をどうにかしないと。

潤「まだ吐きそうかな。どうしよう…やっぱ病院が先？」

雅「待ってても仕方ないしね…。泣きすぎて吐いただけならいいんだけど」

頭は打ってないと思うけど、嘔吐したのは心配。
顔色もよくないし、このまま治療を強行するのはやめておいたほうがいいだろう。

雅「あ、もしもし、和？今時間平気？」

俺とAで波打つ背中を撫でてやっているうちに、雅にぃに電話をかけてもらうことにした。
仕事は…終わっているみたいだね。

雅「今病院出たの？じゃあすぐこっちきて！
え、なに？こっちはこっちだよ。こっち！」

潤「歯科医院の駐車場にいるよ。できれば診察できる用意をしてきて欲しい」

雅「あ、そうそう。そういうこと！」

いきなりの嘔吐で雅にぃも焦ってるのかな…と一瞬思ったけど。
たぶん違うな。これが兄貴のスタンダード。

事情を知らない和にぃに『こっち』と言っても、ここがどこかなんてわからないって。

雅「うん、結心がね。さっき吐いちゃって。
詳しいことは後で話すよ。すぐ来てね。お願いね！」

俺は横から口出ししただけだから、和にぃがどんな反応をしているのかはわからない。
でもちゃんと話は伝わったみたいだね。

和「ごめん、遅くなっちゃった！結心は？」

クリニックからここまでは歩いてこれる距離だから、きっとすぐに来てくれる。
そんな俺の予想をはるかに上回る速さで、和にぃは駆けつけてくれた。

声を出すのも精一杯なほど疲れてるのに。
必死に呼吸を整えながら、ニコッと笑って話しかけてくれる和にぃに感謝しかない。

和「ゆいちゃん、気持ち悪かったの？げーしてびっくりした？
おいで、抱っこしたげる」

なんだろうね、ものすごい安心感。
結心に向ける変わらぬ笑顔のおかげで、重かった車内の空気が和んだよ。