パパが治してあげようね *ARS* 13 (ページ26)

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アナフィラキシー　12　(翔) ページ26

智Side

病院に向かう前、和に連絡して準備をしてもらっていたおかげで、ギリギリのところで薬の投与が出来た。
心臓も呼吸も止まることなく、一夜明けて身体中に出ていた蕁麻疹もほとんど消えている。

翔「くすぐったいよ、智にぃ…」

智「…うん。はい、口開けて？」

翔「あ、あー…」

お腹も背中も手も足も、隅々まで服をまくりあげて皮膚の状態を確認する僕に、翔は少し困惑気味。
でもごめん、どうしても慎重になってしまうんだ。

翔「ね、ねぇ…」

智「あぁ、ごめんね」

翔「もう。ボーっとしてたの？」

意識を失ってから一度も目を覚まさなかった翔の隣に一晩中いて、心電図や酸素マスクを付けて横たわっている姿に不安で仕方なくて…

だからなのか。
胸に当てた聴診器からトクトクと伝わってくる生きている証に聞き入ってしまう。

朝日に照らされた笑顔を見て、心の底から安心した。

翔「ごめんね…智にぃ…
俺のせいで心配かけっちゃって、ごめん…」

先ほどまでの笑顔とは一転、翔は眉を下げながら悲しそうな顔をする。

今日はやけに診察に協力的だと思ったら…
ずっと、気にしていたんだね。

確かに心配もしたしすごく怖かったし、夜も眠れなかったけど…
でもそれは、翔のせいじゃない。

むしろ『ありがとう』だよ。翔のおかげで、全員無事だったんだから。
みんな、君に感謝してる。

翔「感謝…かぁ…。いや、うざったいだけでしょ、あんな余計な世話焼いてさ。
…でもいいんだ。うざがられても。
今回のことで、あいつらがちょっとでも反省してくれたら…
まぁそれすら、叶わないかもしれないけどね」

…そんなふうに悲しそうに笑っちゃって。
でも大丈夫。すぐにわかるから。本当の、彼らの想い。

『失礼します…。あ、翔さん！』

ふふ、ほら来た。

病室にぞろぞろと入ってきた男たち、総勢7人。
「ありがとうございました」って、「すみませんでした」って、頭を下げた彼らに、翔は目をパチクリさせた。

翔「あぁ、昨日の…」

あんなにやりたい放題だった彼らも、今日は別人のような顔。
深々と頭を下げて、しっかり反省もしてくれたみたいだ。

翔「もう飲み過ぎんじゃないよ？二度も助けてやれないからな？」

『はい、翔さん！』

翔「その翔さんってやめてくれって(笑)」

翔は嫌われてもいいなんて言ってたけどさ。
思いはちゃんと、彼らに伝わってたでしょ？

翔、ありがとね。彼らを助けてくれて。
無事でいてくれて、ありがとう。