パパが治してあげようね *ARS* 13 (ページ15)

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アナフィラキシー　1　(翔) ページ15

ASide

「「どんぐりころころどんぶりこ～」」

自然たっぷり、木に囲まれた澄んだ空気の森のなかに、元気いっぱいな声が響き渡る。

今日ここにきたのは、あるものを拾うため。
この前結心が幼稚園でドングリを使った工作をしたみたいでね。
それからすっかりドングリの虜になっちゃった。

持ち帰ってきたドングリに智にぃが顔を描いてくれたんだけど、それを見て可愛い可愛いってすごい喜んじゃって。
結心は智にぃの絵が大好きだから。

そうなると当然「もっと欲しい！」ってなるよね。
それで実際に山で拾うのもいい経験になるかなと思って、連れてきてもらったんだ。

智「どんぐりころころ…」

翔「はい、記念すべき10回目のどんぐりころころ入りまーす」

智「えー、数えてたの？やーね」

結「やーね～」

翔「ちょっと、結心まで？」

智「ドングリ拾いに来てるんだよ？今歌わなきゃ損！
ねー、ゆいちゃん。せーの」

「「どんぐりころころどんぶりこ～」」

どんぐり拾いの計画を立てている時から、思いのほか乗り気だったのは智にぃ。
やらせてみてもいいかなって相談した時も、「いいね！行こうよ！」って真っ先に言ってくれた。

最近ずっと家と職場の往復だったから、自然に触れたかったんだって。
だからなのか、家ではスローな動きをしていることの多い智にぃも、結心と一緒に足取り軽くご機嫌な歌も止まらない(笑)

翔「大丈夫？A。疲れてない？」

「うん。まだ大丈夫」

翔「そう？俺のリュックの紐掴んでてもいいよ。
引っ張ってってやるから」

「ふふ、大丈夫。ありがと」

手をつないだ智にぃと結心は軽快にスタスタと歩いて行くけれど。
それほど急斜面ではないにしても、落ち葉や土で柔らかくなった足元を踏みしめるには想像以上の力を使う。

明日はきっと筋肉痛だなぁ…

翔「あ、11回目のどんぐりころころ始まった(笑)」

「翔にぃも歌う？」

翔「あ～俺はいいや。下手だし(笑)」

翔にぃは「恥ずかしくて歌えねー！」って笑ってるけど、翔にぃだって上手だよ。
比べる相手が悪いだけ(笑)

智にぃは何を歌わせても上手いから。
わたしも智にぃの美声には勝てる気がしないもん。

「それにしても元気だね。すごいなぁ…」

翔「な～。まぁでもさ、2人が楽しそうで何よりだよ」

私達の遥か前をスキップしながら歩いて行く2人を見て、翔にぃが嬉しそうに微笑む。

これが見たくて、徹夜して仕事終わらせてまで、一緒についてきたんだもんね(笑)