百六十七話 ページ19
相変わらずあいつの特殊能力は厄介だ。
魔王を討伐した後になって手に入れた好きな時に好きな武器を召喚するあのスキル
突然現れた剣に対応出来ずに簡単に右肺を貫かれて口から吐き出されたものは真っ赤な血だ。
「綺麗だねぇ…その血は俺の好きな色だ。
あの女の心臓をえぐって魔石を取った時も初恋をしたような高揚感があった。」
とんだクズだ
仰向けに倒れてもなお私の肺をダメにするようにグリグリと抉るように剣を動かしてきた。
『がァ……!?』
「お前の中にある魔石も取り返さないとならないからこんな事をしている場合では無いんだよ。
いい子だからさ、俺の魔石返してよ」
断る。そんな意味を込めて口に残った血を奴の顔に目掛けて吐く
私はいつまでもこんな奴に人生狂わされてそれを許すほど優しくはないんだ。
「なるほど抵抗するか…躾がいのあるペットなのはいいことだけど、いい加減俺の言うことを聞いたらどうなんだリューコ」
『ウグ…その名前で呼んでいい…のはお母さんだけだ…
ダフネは渡さないしトネリコも返してもらうぞ…!』
減らず口はそのままで睨みつけると、奴の表情が変わり小さく舌打ちをした。
「減らず口も…俺を軽蔑するその目も嫌いだ。」
『…!?』
不意に剣を引き抜き私の両目を横に切りつけると、小さなナイフで喉を突き刺してきた。
「滑稽だね…俺はいつも誰かの為に誰かを犠牲にしてきた。
今も自分の為にお前の命を犠牲にしてダフネを取り戻す。
そしたら俺は完璧な人間になるんだ…!
どの世界の強者達でも太刀打ち出来ない最強の俺、かっこいいだろう?」
何も返せないでいる私に対してペラペラとうるさい奴だ。
「もういいや、今は取り戻すのをやめる。
強者はいつでもダフネを迎えに来る事が出来るのをよく覚えておきな…」
耳を疑った。唯一機能する器官を疑うのもどうかと思ったが、奴の発言が理解出来なかったからだ。
気配も消えてその場に残された私は色々と考えた。
奴はいつでも私の中にいるダフネを取り戻すつもりでいる。
しかし、一番のチャンスを逃すとはどういう事なのだろうか?
?「A先生っ!!」
なるほど、生徒が来てしまったのか
秀作は何をしているんだよ…これじゃあ私が再起不能までに傷を負ってしまったと思われてしまうではないか。
しかし困ったな…眠くなってきた。
その時目から溢れこぼれたものが涙なのか血なのか…今の私にはわからなかった。
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またたびはまた(プロフ) - Nekoさん» コメントありがとうございます。これ実は自分で彼の部分を名前変更で変えることが出来て自分で好きな結果に出来るようになっています。変なオチでごめんなさい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 0846684c6a (このIDを非表示/違反報告)
Neko(プロフ) - オチは誰ですか? (2022年12月10日 23時) (レス) @page47 id: dd386e9727 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - すごく面白くて、すごく切なくて、本当に心を動かされる作品です。続きが早く読みたくて読みたくて😖更新、楽しみにしています! (2021年12月31日 15時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
ねこさん(プロフ) - あ(察し)ヤバイやっちゃ。これこの後どうするんでしょう?待って続きがめちゃくちゃ気になります!!どうやって来たよ(糞)ドクター兼(元)勇者様よぉ(#^ω^) …これで間違ってたら恥ずかしさのあまり燃えつきますね。 (2021年12月2日 10時) (レス) @page16 id: ab4164b541 (このIDを非表示/違反報告)
ねこさん(プロフ) - お"があ"ざん"…。ええ話や。( ;∀;) …続き (2021年11月30日 10時) (レス) @page15 id: ab4164b541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたびはまた | 作成日時:2021年10月24日 23時