[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語Ⅲ (ページ12)

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百十二話ページ12

現在、私はテルと別れて行動している。

どうやらワサビという天真爛漫な少女はテルを気に入ったようで追いかけこっしようみたいなこと言ってテルを連れて行ってしまったのだ。

こんなクッソ寒いエリアでゴウカザルを傍において調査をするなんて本当はやりたくなかった。

だってゴウカザルも少しだけ寒そうにしてるもん！

するとゴウカザルはチラリと此方を見て首を傾げた。

〈……あの人間が心配？〉

『テルの事？そりゃあ心配だよ

誰よりもポケモンに対する想いが優しくて強い子は異界の子特有だからね。

異界の子…彼はこの世界に選ばたから呼ばれたのかな？』

だとしたら何故アルセウスはテルを選んだのだろうか？

ぼーっとしている私の目の前を心配そうな表情をうかべるゴウカザルの炎がチラつく。

心配して私の手を取り大丈夫か？と聞くイケメン猿ににっこりと笑みを浮かべて私は大丈夫だと答えた。

『あと少しだけ、調査をしてテルの様子を見に行きましょう？』

〈まあ…俺はAの指示に従うだけだし。〉

全くこの子ったら…可愛い子ね！

デレたゴウカザルをこれでもかと撫で回してハグしてるとだんだんと暖かくなってきて、冷たい風も辛くなくなってきた。

「お前は本当にポケモンと仲が良いな」

呆れ半分嬉しさ半分でそう話しかけてきたのはこの場にいるはずのないセキさんだった。

未だにゴウカザルにハグして頬ずりしたまんまの私は視線だけを彼に向けてどうもと挨拶すると、素早く方向転換をして歩き始めた。

「待て待て…こっちだって理由もなくお前を追いかけない。

時間がもったいないからな！」

それ仮にも求婚した女に言うか？好感度ダダ下がりだぞ。

私もゴウカザルもジト目でセキさんを見つめると言いたい事があるならハッキリ言えと指摘された。

そりゃあ言いたい事はあるけど言えないんだよ、立場的にも私の抱える秘密の内容的にも。

『言ったところで何の解決にもなりません。

私は貴方と釣り合う女とは言えない、足元にも及ばない醜女なので』

「昔から変わんねぇな…お前はいつものらりくらりとしていて掴み所がない。

まるで他人に隠したい秘密があるみたいじゃないか。」