[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語 (ページ4)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:63,259 hit

四話ページ4

運良く放り投げてしまったバケツを回収出来たおかげで水は汲めた。

しかし片手は水入りバケツでもう片方は傷だらけのピチューを掴んでいるわけよ。

そりゃあキャンプ場に戻れば…

｢何連れて来てんだお前｣

『デスよねー』

ポケモンに対して強い警戒心を持つ人達なので傷だらけのピチューにも敵意剥き出しである。

水を渡してピチューについて説明をしようとしたら有無を言わずに｢その辺に捨ててこい｣と言われてしまった。

せめて傷の手当てだけでもさせてくれと言ったが、聞く耳を持たない大人達。

｢そいつが何をしてくるかわかったもんじゃないのになぜ助けなければならないんだ。

ポケモンは危険、人間の言葉を理解出来ないのに助けたところで手当ての理解だって出来るわけが無い。｣

つまりやるだけ無駄だって言いたの…？

さすがに怒るよ

『…馬鹿なの！？

あんたら知らないだけだろうけどピチューはあんたら人間よりも警戒心の強いポケモンで滅多に襲ってこない！

それにこの子はまだ子供なんだよ？

まだ未来ある子供の運命を踏みにじるなんてしてたまるか！

そんなにポケモンが嫌なら…調査隊なんてやめてしまえ！』

激しく息を乱して叫ぶ私のせいでピチューが起きてしまった。

誰だって知らないことは怖いんだ…そんなこと知ってるのについ私の認識を押し付けてしまった。

でも知って欲しいことは事実なんだよ

｢…道具は用意してやる、あとは自分でやるがいいさ。｣

『シマボシさん…』

私の手に渡された袋の中には薬と包帯が入っていた。

最近入ってきたシマボシ隊員は真面目で人に対して冷たいと評価されるが、なんやかんやで優しいことを知ってる人は知ってる。

だから受け取った袋をぎゅっと握って私はピチューを自分のテントに入れた。

絶対助ける…あなたはまだ生きて良いんだよって呟きながら朝までピチューを看病した。