どうも、ポケモン博士です。2

88話 ページ39

道路交通法に違反しない程度に車を走らせて家に着くと、研究所の戸締りをするために兄を置いて再び車を走らせた。

しかしまあなんだよアレ…服装が完全に変装してますって言ってるようなものだったぞ。

善良なワタルファンだったらプライベートなんだなとか察して気付かぬフリして暖かい目で見守るやつだぞ。

もういいや…警備ポケモンのスリーパーに今日は戸締りして帰るから休んでもいいよと言っておいた。


『監視カメラと防犯システムを起動するからゆっくりまったりしていいからね。』

〈ありがとうございます！博士もごゆっくりお休みください。〉


まじでこのスリーパーいい子だな

優しく頭を撫でて休憩室に向かうのを見つめると、管理室の次は中庭に向かった。

相変わらずのびのびとしているポケモン達に自然と口角が上がるのを自覚すると息を吸って声を張る。


『皆〜！今日はもう家に帰るわよ〜！』


それに反応して走りよってくる仲間達の素直さには涙が出そうである。


〈珍しいわね…出掛け先で何かあったの？〉


リザードンの問い掛けに頷くと家にワタル兄様が居ることを伝えたら一部のポケモンは喜んでいた。

ボールに戻して車に向かおうとすると当然のように後ろに着いてくる赤い龍が一匹


『…何か？』

〈帰ってくるなりまた出かけるのか…？〉


服の裾を小さな手で掴み俯くラティアスの可愛さに心臓がキュッとなる

間違いない、ハートが射抜かれる感覚ってコレだわ。


『ごめんなさい…今日は兄様がいるから急いで戻らないと。

この研究所にあの人を入れてはいけない、そう皆で決めたでしょう？』


私の秘密も、ラティアスの存在も守れるのは私だけなんだ。

だからこそ心苦しいが彼女はこの隠れ家にいて欲しい。

後ろ髪を引かれる思いで研究所を後にした私は一番尊敬するが一番厄介な存在のいる家に戻ることにした。

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