どうも、ポケモン博士です。 (ページ31)

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30話ページ31

空の色は紅く染まり、紺色と混ざり合い夜になろうとしていた。

ワ｢(…遅いな)｣

腕を組み、1人約束の場所で待つ兄ことワタルは妹と合流することになっていた。

理由は今回の試合で妹にマネージャーをやらせるという名目で、一緒にガラルを楽しみたかったから。

こんなアホな理由があるが、彼は世界最強のドラゴン使いである。

妹の存在があまりにも可愛くて本来のキャラが保てないでいる残念な兄である。

もしかしたら道に迷ったのだろうか…それとも彼女のことだからまた何処かで道草を食っている可能性もあると色々考えて、出た答えはスマホロトムで連絡するというものだった。

ポケットに手を伸ばして彼女に連絡しようとしたその時だった。

急に周りが騒がしくなって、誰もが上空に目を奪われていた。

なんなんだあれは…だとか、見たことの無いポケモンだとか言っているからつい彼も上空を見た。

ワ｢あれは…！メガリザードンX？｣

黒いボディに口から漏れる青い炎が辺りを照らす姿は、その場にいた者全員が息を飲んだ。

『あっ…兄様！』

ふとカントー地方などで使われる聞きなれた言語が頭上から聞こえて見上げれば、目の前に黒い影が降り立った。

『お久しぶりですワタル兄様。』

ワ｢お前…Aか？

フードを取りなさいフードを…｣

声だけで自分の妹であると認識した兄は深く被ったフードを外そうと手を伸ばしたところで、その手を避けた。

『身バレしたらどうするのですか！

私はメディアに顔を出さない主義なのです。』

そこで兄は思い出した

目の前にいる女性は妹であるAだけでなく、博士としてのAでもあることを

ドラゴンを専門とするA博士はメディアに顔を出すことを嫌う…と言うよりも人との関係を持つことを嫌った。

それは何時しかあったあの事件が原因と言えるのだろう。

『…兄様？早く行きましょう。対戦相手のチャンピオンダンデも連れてきたので』

ぼーっとしているワタルに違和感を感じだAは兄の名を呼んでリザードンの背に乗っているダンデの元に走っていった。

ワ｢…？なんて？｣