[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語Ⅱ (ページ7)

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五十七話ページ7

ヘドロ台地

そこはガチグマと対峙するにはうってつけの広さのある場所で、シンジュ団キャプテンのユウガオはビーダルと共に少年テルを待っていた。

ガチグマは現在、暴れていはいるがライドポケモンとしての本能なのかキャプテンのユウガオがカミナギの笛を吹けばすぐさま姿を表してくれるらしい。

背負った籠から取り出したカミナギの笛を吹けば辺りに響き渡り、段々と地響きが大きくなっていく。

｢さあガチグマにお前さんの力を見せつけな！

ただしガチグマはシンジュ団が大切にしているポケモン、捕まえることは出来ないさね！｣

はなからガチグマを捕らえようなんざ考えてはいない。

目の前にいる巨体はリングマよりも大きく、額に浮かぶ模様はまさに月輪を掲げるクマ

そんな誇り高きシンジュ団のポケモンの暴走を食い止めるのは少年テルしかいない。

｢いけ、ブイゼル！｣

彼は確実に強くなっている

一度危険な目にあったからなのか強さに対して貪欲で、いくら努力しようとも足りない精神を育てたのだろう。

彼を試すだとか見守るとかは言ったはいいがやはり心配なものは心配である。

ブイゼルのアクアジェットで先制技を出してさらにみずでっぽうで追い打ちをかける。

しかしガチグマはその程度ではやられないタフなポケモンである

鋭い爪を使って相手を切り裂くその姿は恐ろしい獣

でもテルは諦めずに立ち向かい、倒れたブイゼルを交代してスボミーのすいとる攻撃で倒してしまった。

低威力の技でもゴリ押ししてしまえば勝てるものだな…なんて感心しているとウォーグルの影に気づいてテルが空を見上げた。

お疲れ様と言いながら下降して上陸すると、テルはやりきったぞと口には言わずとも顔に出ていた。

よくやったぞと頭を撫でていたら横から何かを吐き出す音が聞こえてそちらを見れば顔を引き攣らせた。

あれは確かシンジュ団秘伝の薬、その名も毒除丸じゃないか。

体の中の毒を外に出すために飲めばたちまち毒を吐き出してしまうという恐ろしい丸薬…。

効力が強すぎて頑丈な体のポケモンしか使えないのが欠点と言えるだろう。

でもおかげでガチグマは先程まで暴れていたのが嘘のように落ち着きを取り戻した。

良かった、これで被害者が減る

するとユウガオさんは不思議そうな顔でガチグマを見ていたのだ。