[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語Ⅱ (ページ44)

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九十四話ページ44

洞窟の中に入れば内部を照らす松明が一本も無かった。

すぐにツバキの妨害だと理解したが腹立たしい

でもノボリさんがいるなら平気だろう、この人はルートの把握は出来ているから暗闇でも迷うことなく進める。

『いくらノボリさんがいても暗闇は危険です、灯りとなるゴウカザルを出しますね。』

ボールから飛び出るゴウカザルは私の肩に己の手を乗せて要件を聞いてきた。

特に何もしなくていい、辺りを照らす松明になって欲しいと言った。

｢ほのおですか…朧気ですが私にもほのおタイプのパートナーがいたような気がします。

名前は思い出せませんが…｣

やめてくれ、私のSAN値がピンチになる

ゴウカザルの炎を頼りに前へと進んでいく度にノボリさんは自分の覚えている記憶を全て話してくれた。

名も思い出せぬ己の手持ちポケモン、己に似た男…くっそ泣きそう

｢勝利するのが何より大好き…今ふと思い出した言葉です。

……何故泣いているのですか、A様？｣

もうダメだ…アルセウスの全知全能の力でノボリさんを元の世界に戻して欲しい

目から溢れる涙、悔しさに唇を噛み鼻を啜った。

『うぅ…前々から私はノボリさんの事をどうにかしたいと思い続けていました。

何故かあなたの記憶に関する話を聞くと涙が止まらないのです。』

｢A様…御心遣いに感謝します｣

こちらこそ本当にすんません!!

私の情けない姿にテルは心配そうに見つめて背中を摩ってくれた。

もう泣くのはやめよう

だって出口は目の前なのだから