[ポケモン]捨て子から始まる異世界転生物語Ⅱ (ページ14)

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六十四話ページ14

湿地に君臨するは上品さと力強さを備えた美しき一輪の花こと峠の姫君

その者が振りまく粉を吸えばたちまち力が漲るまさに禁断の花

今こそ己の力を示す時

いざ尋常に勝負

雷の影響で金色に輝くドレディアにシズメダマを投げながらも技がくれば回避する。

それを繰り返すテルはポケモンバトルで疲れさせる瞬間を伺っているようだ。

私は決して手を出さない

バサギリとの戦いで彼はまだまだ未熟であると判断して手を貸してしまったが、このままでは彼が成長しない。

でもテルだって私には頼れないとわかっているからこそ強さを求める貪欲さを育てた。

だからこそなのだろう

『(テルがドレディアを押している…！)』

いける…そう判断したテルはポケモンを出して勝負を仕掛けた。

強さを示すのならポケモンバトル

ムクバードを繰り出して戦うその姿に私は目を潤ませた。

〈うわぁ…綺麗だね〉

何故勝手にボールから出てきてるんだこいつ

ギョッとして私の手を繋ぐゴウカザルを見ると、ニコニコ笑ってドレディアの舞を見ていた。

うちのゴウカザルは命知らずのバカ

楽しむ為にバトルをするから保護者の私は頭を痛めるんだよ。

勝手に戦場に入るゴウカザルを止めようとボールを取り出すが、一向に戻ろうとしない。

｢Aよせ！今入ったら危険だ！｣

戦場に入ろうとする私を止めたのはセキさんだ。

確かに危険だろうね…でも暴走するドレディアの影響でゴウカザルまで荒ぶったら…テルには荷が重過ぎる。

私だってガチグマと同じ悲劇は繰り返したくないんだよ。

セキさんの手を振り払い戦場に入ってしまったゴウカザルを追いかけると、テルが驚いた表情でこちらを見てきた。

『ドレディアに集中しろ！

自分の管理するポケモンの失敗は私がどうにかする！』

ドレディアの振りまく粉を吸わせない為に一度ボールにポケモンを戻したテルはドレディアと距離をとった。

もちろんそうなればドレディアが狙うのは

うちの子だよな

『ゴウカザル！粉を吸うんじゃない！』

私の願いも虚しく、ピタリと動きを止めたゴウカザルは息が乱れて興奮が冷めないといった様子だった。

嘘だろ…最悪な事態になったんだが。