ルージュの指輪 (ページ8)

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「もうすぐ後期が始まってしまうわけですよ。」
「…そうやね。」
「で、週末のご予定は？」
「駿佑と日帰りで名古屋に。」

「そこまで来たら泊まれよ！」
「次の日シフト入ってるから。」

ずるずると時間だけが経って、大学3回目の夏休みも終わりに差し掛かっていた。来年は就活か、めんどいなぁとか思いながら。

「真面目かよ。二人して。」
「流石にバイト優先やろ。別に記念日とかちゃうし。」
「で、どうする気なん？別れるん？」

「…早い方がええよな。」

最近知り合って、お互い会おうとしなければ会えないような関係性ならすぐに割り切れるのに。切れたら他人、それなら楽な話だった。

私たちは幼馴染で、家もドア1つ空けて隣で。
別れたからってきっぱり関係を切れる訳じゃない。しばらくは引きずって余計にややこしくなる。

だから、言うには勇気がいる。
こんなの言い訳でしかないと分かっているけれど。

「まあ、就職先決まって別れようって言うのもなぁ。それはそれで可哀想やと思うで。」

「やんな、」
「でもほんまにそれでええの？とは言っとく。」

後悔すると思うけどな、って言葉には聞かないフリをした。どっちにしろ後悔はするはずだから。