ルージュの指輪 (ページ17)

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「なぁ、」
「なに。」
「恭平と何話してたん。」

「恭平…あぁ、高橋くん？」

こうなることは分かってた。
でも、あのモヤモヤの正体を私はまだ見つけられずにいて。なんと言い訳しようか考えているうちに駿佑が足を止めた。

「Aはあーゆーのが好きなん。」
「面白いけど恋愛感情はないで。」

「じゃあなんで、俺といる時より楽しそうやったん。」

なんで、そんな顔するん。
嫌なら私と別れたらええやん。

思っていることと裏腹に零れたのは、言うつもりのなかった言葉で。

「駿佑やって、アヤちゃんと話してる時楽しそうやったで。私といる時よりずっと。」

「それは、」

「認めるんやろ。じゃあ、アヤちゃんと付き合えば。」

帰るところは一緒なのに。
走り出した私を追いかけてくる人は居なかった。
それが無性に悲しくて、いつの間にか我儘になっている自分に気付く。

きっとこの関係に甘えていたのは、私だった。