太陽と月 s.s (ページ9)

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カシスオレンジページ9

着替えを終えた頃にしょーくんからお店の名前と地図のメールが届く。

ラストのスタッフ達に挨拶をして上がると店の前に一台のタクシーが停まっていた。
しょーくんが手配してくれたんだとすぐに分かる。

慣れない扱いをされ少しドギマギしながら乗り込んだ。

店に向かって走るタクシーの中で明日の仕事の組み立てを考える。

そんなこんなしてる内に店の近くに来たので降ろしてもらう。

しょーくんにメールする。

店に入ると、店員さんにこれまたスマートにご案内致しますと案内される。

薄暗くしっとりとした店内にはジャスが流れていて大人な雰囲気。

仕事帰りで良かったかも…通勤で今日は黒のパンツスーツだったのが店の雰囲気に逆らってなくて安心する。

案内された個室に入るとしょーくんがまたロックグラス片手にパソコンをカタカタしながら目を向けた。
「お疲れさん。」
メガネを外しながら微笑む。

「女神。」

「はぁ～？」
もー本当俺、女じゃねーからやめろよ
って完全オフな言葉遣いで、でも穏やかな顔でソファーにエスコートしてくれる。

「いいね。そのスーツ。キャリアウーマンっぽい。」

そんな褒められる事に慣れていない私は
「何？ぽいって？？
ぽいじゃなくてキャリアウーマンなのっ。」
って照れ隠しする。

そんなやり取りをしてるとドアがノックされ
カシスオレンジが運ばれて来た。

目を丸くしてカシスオレンジを見つめてると

「一杯目はいつもカシスオレンジでしょ？
それとも変わった？」

「…ううん。
変わってない。」

「そ。良かった。
じゃあ改めてお疲れさまです。」

しょーくんもグラスを持ってお疲れの乾杯をする。

「その顔でこんな事されたら大抵女の子は落ちるでしょ？」

「まぁね。」

「くぅ～。言ってみたいわ私も。」

「いやいや。あなたは落とされる方でしょ。」

「あはは。
もう女の子扱いされる歳じゃないし。」

「そんな事ねーよ。」

「ありがとう。
しょーくんは優しいね。」

きっと今日の女優さんは今頃
これから先のしょーくんとの恋愛に浮足立ってるんだろうなって思い浮かべつつ、私は真逆にこれから先は仕事一筋で行くんだろうなぁなんてぼんやり考えた。