太陽と月 s.s (ページ5)

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あの頃ページ5

しょーくんと出会ったのはまだまだデビュー前の頃。
智のあとをずっとついて来るちっちゃな男の子だった。
金髪でピアスしてたけど、くりくりの目でまるで女の子みたいな羨ましいくらい綺麗な顔で、一瞬その雰囲気に飲み込まれそうだった事を今でも鮮明に覚えている。

そんな可愛い顔に相反して中身は年頃の男の子。
粋がって生意気だったけど育ちの良さは隠せずどことなく憎めない子だった。

その頃は毎日のように智と一緒にいたから自然と私とも会う機会が多々あり仲良くなった。

そんな昔の事を思い出しながら廊下を歩いてると後ろのしょーくんが

「最近どーよ？」
ってスーツのポケットに両手をいれて微笑みながら聞いてきた。

「んー？
昨日智に最近しょーくんが店に来ないんだぁなんて話をしてたら、今日来てくれたからテンション上がってるよ。」

振り返ると
ダークグレーのスーツにブルーのストライプのシャツに赤のネクタイ。

いや、これが一般道歩いてたら本当に大騒ぎになるわ。

「うそ。まじ？
てか、智くんと昨日も一緒だったんだ？
あなた達本当仲良いね。」

しょーくんはこちらから気を使わなくてもどんどん話題を振ってくれるから楽。
頭の回転が速くて言葉足らずでも読み取ってくれる。それが当たり前にできる人。
だから言葉で表現するのが苦手な智とも一緒にいて苦じゃなく、むしろ自分の持っていないものを持っているお互いが面白いのだろう。
理性のしょーくんと本性の智。

いつの間にか隣に並んで歩いてるしょーくんに

「大人になったね…。」
って呟いた。

「近所のおばさんかよっ？！」

ふははって豪快に笑う。

他愛もない話を途切れる事なく続けていると部屋の前に着いた。

「こちらです。」

扉を開けると
「ありがと。」

と、スマートに扉を抑えるのを代わってくれて中に入って行く。

失礼いたしますと、退室しようとしたところにインカムから「櫻井様のお連れ様が到着です。」と連絡が入る。

「しょーくん、お連れ様お見えになりましたよ。ご案内して来ますね？」

「え？Aさんはここにいて。」

当たり前のように言う。

「…了解。
ご案内お願いします。」
インカムでスタッフに指示を出す。

その様子を満足そうに椅子に座ってしょーくんは眺めてる。