王子様 ページ16
今日は潤くんとの約束の日。
「Aさん！」
キラキラを振りまきながら
私を見つけるなり笑顔で手を振って店に入って来た。
上がり20分前くらいに店にやって来た潤くんは
お店の人たちとも話したいから、仕事の邪魔しない程度にするからお願いって言ってスタッフ達と楽しそうに話をしていた。
好奇心旺盛な潤くんは料理の事とか仕事内容とかを聞いて色々な事に活かそうとしているんだろう。
キラキラな笑顔が眩しい。
上がって着替えて来ると伝えると
急がなくていいよって気遣いをくれる。
潤くんおススメのお店に着くとスマートにエスコートしてくれる。
「ほんとあなた達といると現実逃避できちゃう。」
くすくす笑う私を不思議そうに覗き込んで来て
「何が？」
って首をかしげる。
「その仕草きゅんと来る。」
「嘘つけ。
だったらあの人達あんな苦労してないよ…。」
「え？」
「ううん。
入ろう。
冷えちゃうよ。」
軽く腰に手を当て先を促して来るけど
それは強引ではなく同意を求めている優しい仕草。
「はい。
王子様。」
それからは
料理の話だったりさっき店にいた時の事などを色々話して盛り上がった。
キラキラ目を輝かせて話を真剣に聞いてくれる潤くんは人としてももちろん魅力的。
でも…。
「あ。
今違う男の事考えてたでしょ？」
「！？
そんな事ないよ。」
「Aさんておもしれー。
ハマると大変だろうけど。」
「また。
訳わかんない事を…。」
「あー…そろそろAさん帰さないとね…。」
「え？」
時計を見るともう深夜12時を過ぎていた。
「最後に記念撮影しよ。」
「王子様とツーショットなんて幸せ過ぎる。」
潤くんが右手にスマホを持って2人で寄り添って撮影。
「後で送っておく。
また飯行こう。
タクシー呼んであるから先に乗って。」
「うん。
今日はありがとう。」
どこまでもジェントルマンな潤くんにふわふわした気分のまま別れてタクシーに乗り込む。
全てが夢のように感じた。
家に着くと相変わらず智がソファーで丸まってた。
今日はお休みで早朝から釣りに出掛けてたから疲れているんだろう。
眠っている智の頭をぽんぽんしていると
上着のポケットに入っている携帯が震える。
潤くんがさっき撮った写真を送ってくれたのだろうとそのままにしていたら一向に震えが止まらない。
こんな時間に着信なんて…と思いながら携帯を取り出すと画面に
「櫻井 翔」
のディスプレイ
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作者名：ことら | 作成日時：2017年12月13日 14時
