きっと大丈夫 ページ15
そのまま店のスタッフが待つトラックに戻る。
スタッフ達が見えてくる前に顔を直す。
心を落ち着かせる。
笑顔で
ごめーんっ！
手を振って駆け寄る。
大丈夫ですか？？
スタッフ達の心配そうな声に
大丈夫だよっ。
笑顔で答える。
みんな優しい。
智に悪い事しちゃった。
しょーくんに嫌われちゃった。
胸が痛い。
智にはメールでも謝った。
しょーくんには怖くてメールもできない。
どくどくどく…。
胸が痛い。
ごめんね。
ごめんなさい。
心の中で何度も何度も2人に謝った。
最低な人間だよ。
私は。
その日の夜、智が家に来た。
私は晩酌しながらテレビを観ていた。
テレビの内容は全然入って来てない。
リビングに入って来るなり
「…何？
Aは何でそんな凹んでんの？」
不安でもあり不機嫌でもある声。
私が座ってるソファーに向かって
ポケットに両手を突っ込んだままズカズカと歩いて来ると
そのままどかっと座って足を組む。
無言でいる私の手に持ってるグラスを奪って一気に飲み干した。
すると
さっきとは違う穏やかな口調で
「…やっぱいい。
答えないで。
考えないで。」
「ごめんね。
智。
ありがとね。」
「もうその事はいい。
もう謝んな。
俺はAが無事だったらそれでいい。」
「智…。」
泣きそうになった私は
ぼふっと智の胸に抱き寄せられた。
「今日は俺がAにぽんぽんしてやる。」
右手で私の頭を優しくぽんぽんしてくれた。
「ふふっ。
ありがとう。」
昼間に聞いた鼓動とは違う音を聞いて
しょーくんを思い出した。
はっとして
それを誤魔化すために智から離れた。
「A？」
「もう大丈夫。
きっと大丈夫。
智も飲むでしょ？
グラス取って来るから待ってて。」
ソファーから立ち上がって
キッチンへ向かいながら落ち着かせる。
どくどくどく…。
また胸が痛むけど。
うん。
きっと大丈夫。
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作者名：ことら | 作成日時：2017年12月13日 14時
