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「うわぁ
すっげぇ」
合宿所は避暑地で観光名所から少し離れた山のふもとにある
周りには電柱なんかなく
もちろんビルもなく
空を見上げても邪魔をするものが何もない
都会で育った俺にとって、いつも見ている人工的な風景とは真逆の自然の中はすごく新鮮だし癒される
荷物を部屋に置いて授業までの間
ひとり川辺に向かう
排気ガスまみれの東京とは打って変わって、空気が澄んでいて思いっきり深呼吸ができる
少し川沿いを歩くと
Aがいた
ひとり座って遠くを見ているその後ろ姿ですぐに分かる
話しかけようか迷っていると
「あれ
櫻井じゃん」
何故か俺に気づいて振り向く
「ふはっ。
すっげ気づいた」
「ふふっ
何となく？」
「なんだよそれ」
近づいて行くと
「声かけてくれればいいのに」
「いや
なんかひとりでいたいのかなと思ってさ」
「まぁね」
そう言いつつも迎えてくれる
隣に座ってしばらく一緒に空を見る
「…櫻井とこんなに仲良くなれると思ってなかった」
おもむろにAが言う
「そんなこと言ったら俺だってそうだよ
すんげぇ最悪の初対面だったじゃん」
「ねー。
だって、エスカレーターの人達ってお金持ちの子だから、住む世界が違うし明らかに見下した目をしてたじゃない？」
「はっ
それ偏見だろ？」
「そんなことないよ
櫻井もすっごい顔してた」
「いやいや
Aさんがこんな風にすごっい顔してたからですよ？」
なんて冗談交じりに自分の目尻に人差し指を当てて目を釣り上げてみせた
「うっそ
そんなへんな顔してないよっ」
ぺしっと冷たい指先でその手を叩かれて
「いてっ」
だなんて
全然痛くないのに冗談を言って笑わせる
「最初はそんな人達に対して構えてたけど
櫻井のおかげで偏見だったって分かった
ごめんね」
「え？」
いきなり謝られて戸惑う
「櫻井はお坊ちゃんなのに全然普通だし。
…ううん
むしろ逆に擦れてて一般的な18歳男子だから親近感が湧いた」
「なんだよそれ褒めてねぇじゃん」
「大事に育てられて世間知らずでマイペースなイメージだったから。
でも実際櫻井は空気も読めるし自立してる。
それになにより消しゴムが自分のものじゃなかった時に素直に謝ってくれたじゃない？」
「そんなことで…？」
「うん
そんなことだけど実はすっごい難しいことでもあるんだよ？」
そう言って
綺麗に微笑む
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ことら(プロフ) - 皆さまコメントありがとうございます。 (2018年11月3日 11時) (
レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - はじめまして!毎回楽しく読ませて頂いてました！すごく面白かったです､これからも頑張ってください！ (2018年11月2日 19時) (レス) id: 41dfb4f50b (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - お疲れ様でした！ (2018年11月2日 18時) (レス) id: 57fa7283bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - しようちやんも大好きだよ (2018年10月22日 21時) (レス) id: 971a33d799 (このIDを非表示/違反報告)
ことら(プロフ) - まひうお様はじめまして。そう言っていただけるなんて光栄です。ありがとうございます！ (2018年10月22日 17時) (レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことら | 作成日時：2018年10月13日 19時
