32. ページ32
.
「こうして櫻井とまた話せるようになれるなんて、あの頃は思ってなかったな」
食事が終わり
食後のコーヒーを飲みながら
少しの沈黙の後、Aがそう呟く
「そうだな…」
窓の外の夜景を見つめたままの君を
俺は見つめながら答える
「でも
Aが名古屋配属になるなんて驚いたよ」
もっと近くにいたら
何か変わっていたのだろうか…
そう言うと
夜景を見ていたAの大きな目が俺を見る
それだけで
胸が高まるんだよ
Aは少し微笑んで
「私が配属願い出したんだ」
「えっ！？」
意外な事実に驚きを隠せない
「…なんでだよ？」
知りたいけど…
…知りたくない…
なんでわざわざ遠くへ…？
Aは
んふふ
と笑うと
「今だから言えるけど
…櫻井と離れたかったの」
その瞬間
ハンマーで後頭部を叩かれるくらいの衝撃を受ける
.
「…え…」
ようやく絞り出した声はとてつもなく情けない声だった…
するとAは少し泣きそうな顔になり
「私、櫻井に嫌われてたじゃない？
だから離れた方がいいだろうと思ったの…」
え？
固まる俺を見ながらAは続ける
「私が勝手に決めた事だから
ただ単に私のわがまま」
俺の…
せい…？
.
俺のせいでこいつの人生狂わせちまったのかよ？
それなのに俺は
浮かれて
こいつが好きだの諦めらんねぇだの考えてたのか？
.
俺のせいで滝沢とも離ればなれになっちまったって事かよ…
今の俺
きっと
すっげぇ情けねぇ顔してる
.
.
俺のわがままで…
いくらガキだったからとは言え
一番大切な人を傷つけ、追い詰めてしまった自分に
どうしようもないくらいの後悔が押し寄せる
.
若気の至りなんて言葉では片付けられないくらいの大きな罪を俺は犯してしまっていたんだ。
.
.
「ごめん…」
それしか言葉が出てこなかった…
「ううん
違うのっ！ごめんね
櫻井が謝る事じゃない。
そして
秀明とも離れたかったの」
「えっ？」
更に驚き目を見開いてAを見る
「…私…
櫻井とも秀明とも離れたかったの
名古屋に行く時に私と秀明は別れたの」
.
は？
嘘だろ？
どう言う事だよ？
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 490人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことら(プロフ) - 皆さまコメントありがとうございます。 (2018年11月3日 11時) (
レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - はじめまして!毎回楽しく読ませて頂いてました！すごく面白かったです､これからも頑張ってください！ (2018年11月2日 19時) (レス) id: 41dfb4f50b (このIDを非表示/違反報告)
まひろ(プロフ) - お疲れ様でした！ (2018年11月2日 18時) (レス) id: 57fa7283bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - しようちやんも大好きだよ (2018年10月22日 21時) (レス) id: 971a33d799 (このIDを非表示/違反報告)
ことら(プロフ) - まひうお様はじめまして。そう言っていただけるなんて光栄です。ありがとうございます！ (2018年10月22日 17時) (レス) id: f90816f02b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことら | 作成日時：2018年10月13日 19時
