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Aとのデートの日の夜。
ビール片手に さして面白いとも感じないテレビを見ていると、鳴り響くスマホ。
ゆったりとした動作でそれを取り、出てみると あ、もしもし?と坂田の声。
「 どうした 」
「 やー、今日のAとのデートどうだったんかなって 」
「 切るぞ 」
「 酷くね!? 」
「 事の展開全部知っててメンタル壊しにきたんかお前は 」
「 そういうわけちゃうよ、ごめん 」
いつもより元気の無い坂田の声を聞いて、Aになんか言われたんだろうなってぐらいの予想はつく。
まぁ、大概 志麻とはもう会わないとかそんなようなこと言われて、俺との関係を一番応援してくれたこいつだから、それに胸を痛めたりしてくれてるのだろう。
「 まーしぃはさ、Aのことまだ好き? 」
「 はぁ? 」
坂田の唐突な質問につい 素っ頓狂な声を上げてしまう。好きじゃなかったら、どうしてこんなにも俺は病んでいるのか。
そんな理由、こいつにも分かっているはずだろうに。
「 まーしぃが好きなのは、今のA?それとも… 」
「 性格とか変わってたらまた色々変わってたかもしれねぇけど、アイツは馬鹿みたいにアイツのままだしな。今のアイツも、前のアイツもどっちだって好きだよ 」
きっと、ずっと思っていた事だったのだろう。
自分が思うほど すらすらと出たその言葉は、そのまま自分の心にストンと落ちて。
前の彼女に囚われていたのは確かだが、それでも今の彼女にだって 加えて惹かれていたのは事実だ。
何度記憶をなくそうと、忘れられようと、多分俺はアイツを忘れることは出来ないし 嫌いになることはない。
俺の言葉を聞いた坂田は嬉しそうに そっか、と言葉を零して。じゃあさ!と。
「 明日、暇ならAの家 行ってあげてよ 」
「 ほんまになに言うてんの、お前 」
「 ええから!…Aが待ってるのは、誰でもない まーしぃだよ 」
何言うてんねん、アイツは坂田のことが好きって言うてたぞ。…なんて、言えるはずもなかった。坂田がこうして電話をかけてきているのは、確信があるからなのだろう。
こいつは、こういう大切な事に関しては適当なことを言って励ますようなやつでは無いと 俺は知っている。
「 ほんま、これで コテンパンにやられたら 坂田のこと恨むからな 」
「 飲み一回奢りで勘弁して(笑) 」
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ざゆ(プロフ) - 本当に本当に本当に最高でしためちゃくちゃ泣きました!!こんなすてきなさくひんをありがとうございます、また何回も読みに来ると思います本当に大好きです!! (2020年8月11日 1時) (レス) id: d0019edafb (このIDを非表示/違反報告)
空っぽのコップ(プロフ) - センラさんに正直に話す所から涙が止まりませんでした。こんなにも素敵な作品を作って下さってありがとうございます! (2019年6月28日 7時) (携帯から) (レス) id: 7582f8fce2 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - ぷりん畑さん» お返事遅くなって申し訳ありません。私の作品なんかで涙を流してもらえるなんて光栄です!ぜひrecoupを聴きながらまたこの作品を呼んでもらえると嬉しいです! (2018年6月7日 3時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん畑 - お友の紹介で読み始めたんですが、夢主事故った位からずっとうぅうぅ泣きながら読んでました。またrecope聴きたくなりました。大好きです。 (2018年5月25日 22時) (レス) id: ddc5e690a1 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - 葵香さん» 素敵な曲ですよね、あの曲私大好きです(*´ω`*)ご覧いただきありがとうございました! (2018年1月18日 1時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
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