＊ ページ38
・
家に着くと、
それまでフラフラだった彼はソファーに座らせると、
にやりと笑って俺を押し倒した。
ab「今日は、」
「記念日です。わかってるよ」
俺を押し倒して得意げな顔をする彼。
俺の解答に満足げに笑った。
ab「せいかい」
そんなこと、とっくに分かっている。
この時間は二人っきりで過ごしたかったし、
他の誰にも邪魔されたくなかった。
彼を押し返して起き上がると、
彼はコテンとその場に座り込んだ。
「あの景色覚えてますか」
亮平の頭を撫でながら呟くように言う。
「思い出してました。
あの日のこと。
綺麗な緑色の会場のこと。」
ab「すごく、綺麗だったね」
彼は遠くを見ながらふわりと笑う。
あの日は、メンバーとファンと、
この人の復帰を喜んで、みんなで過ごしたけど、
「今日は独り占め。
今日は俺のもの、ですよね」
ab「…ずっと、でしょ？」
また彼はいたずらっぽく笑う。
「今日は二人になりたかった」と、彼は恥ずかしそうに言った。
呑みすぎたのは、
俺が遠くに座ったことに拗ねたのだと、
彼が視線をそらして言うから、
そんな彼が可愛くて、
俺はたまらず、そのまま彼を押し倒した。
「ほら、こんな景色、
なかなか見られないよ」
そっと目を閉じた彼に、あの日と同じ言葉をかける。
ab「…そうだね」
甘い口づけ。
あの日から、何度も重ねてきたはずなのに、
今日のはより特別に感じる。
きっとこれから、
記念日を迎えるたびに、
あの緑色の景色が頭をよぎるんだろう。
その度、俺は思い出す。
緑色の景色への何とも言えぬ背徳感と共に。
あの日、亮平とステージに立った時の気持ちを。
苦しかったあの日々を。
ab「れん、」
「…ん？」
ab「俺だけ見て」
こんな表情を突然するから、
俺はきっと、永遠に、彼の沼から抜け出せない。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
本編に組み込めばよかった内容ですみません。
完結してからもストーリーが浮かんできてしまっていて、
なんで完結させたんだ…と頭を抱えています。
書き直したい衝動を押さえて、新作やら短編週にぶつけたいと思います。
めめあべフォーエバー。
そして、こんなところでごめんなさい。
ひーくんおかえりなさい。。待ってたよ。
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1031人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪兎（阿部担）(プロフ) - 数年ぶりによんだんですけど、本当にこの話大好きで、何回読んでも泣いてしまう最高の作品です。ありがとうございました！！ (9月4日 21時) (
レス) @page38 id: 265bbda4f1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾅﾂｷ - 他の方が書かれてるように読んでいくうちに物語に引き込まれて、止まらなくなりました。こんなに泣きながら小説を読んだのは初めてです。所々切なくて胸に刺さる部分もありましたが、最後mmabが結ばれて良かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2022年4月29日 23時) (レス) @page38 id: 2d51285911 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしゅう(プロフ) - 読み始めたら止まらなくて一気に読みました。途中ハッピーエンドになると書いてあったけど、切なすぎて胸が痛くなるのは止められず目が腫れるほど泣きました。skabが好きなのでskが切なかったけど、ノンフィクションじゃないかと思える感動な作品で、読めて幸せです。 (2021年3月25日 12時) (レス) id: dee66be56c (このIDを非表示/違反報告)
あか - 涙が止まりませんでした(T_T) (2021年3月19日 21時) (レス) id: aad3573941 (このIDを非表示/違反報告)
yum(プロフ) - 今更ながら、読ませていただきました。もうなんだか感動しすぎて…笑一気に読んでしまいました笑これからも他の作品読ませていただきます！ (2020年7月15日 2時) (レス) id: a05dc0eb83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月15日 17時
