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Side：ab
アンコールの声が響いている。
久しぶりに立つステージは、
熱くて、眩しくて、何より楽しかった。
自分がここにいることが当たり前じゃないのだと、
歌いながら、踊りながら、何度も噛みしめる。
ステージから見るファンの笑顔が眩しくて、
おかえり、と受け入れてくれるメンバーも、ファンも、
これがどんなにありがたいことなのか
思いを馳せずにはいられなかった。
このステージに立つと決めたとき、
まだ本調子ではないし、体力面でも不安があって、
それでも俺がここに立てるように、
メンバーもスタッフさんも色々試行錯誤してくれて、
こうして今、ステージを終えようとしている。
mm「阿部ちゃん、はやく」
目黒に手を引かれてステージ裏にスタンバイした。
ここまでみんなで作り上げたコンサートが終わると思うと、
とたんに寂しく感じる。
このセットが動いて、
最後の曲を歌ってしまえば、
幸せな時間は終わってしまう。
「セット動きます」
スタッフさんの声。
セットが動き出す直前、目黒の手を強く握った。
彼がそっと握り返してくれるだけで
俺の心は安心感に包まれる。
覚悟して、伏せていた顔を前に向ける。
すると、そこに待っていたのは、
一面緑色の世界だった。
「…え？」
驚いて顔を横に向けると、
他のメンバーも嬉しそうに笑って俺を見ている。
身体のちからが抜けそうになった。
普段無意識に探している緑色のペンライト。
俺のことを応援してくれているサイン。
今日、無くなっていたらどうしようと、
開演前、一抹の不安さえあった、緑色。
嘘のような、美しい景色だった。
「大成功！！！」
メンバーが声を揃えて言うと、
そのペンライトが一斉に揺れた。
ステージを降りるまで泣くまいと思っていたのに、
俺の目からは簡単に涙が溢れてきて、
止めることが出来ない。
両手で顔を覆って、その場にうずくまろうとするのを、
目黒に強引に腕を引かれて制止される。
mm「ほら、こんな景色、
なかなか見られないよ」
「…うん、そうだね」
他のメンバーは腰を抜かしそうな俺を置いて、
センターステージへ駆けていく。
俺は一瞬、その姿が他人事に見えて、
置いていかれそうな気持ちになって、
目黒の腕を掴んだ。
mm「ほら、いくよ」
世界は優しい。
こんな景色を見られる人は、この世界に何人いるんだろう。
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雪兎（阿部担）(プロフ) - 数年ぶりによんだんですけど、本当にこの話大好きで、何回読んでも泣いてしまう最高の作品です。ありがとうございました！！ (9月4日 21時) (
レス) @page38 id: 265bbda4f1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾅﾂｷ - 他の方が書かれてるように読んでいくうちに物語に引き込まれて、止まらなくなりました。こんなに泣きながら小説を読んだのは初めてです。所々切なくて胸に刺さる部分もありましたが、最後mmabが結ばれて良かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2022年4月29日 23時) (レス) @page38 id: 2d51285911 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしゅう(プロフ) - 読み始めたら止まらなくて一気に読みました。途中ハッピーエンドになると書いてあったけど、切なすぎて胸が痛くなるのは止められず目が腫れるほど泣きました。skabが好きなのでskが切なかったけど、ノンフィクションじゃないかと思える感動な作品で、読めて幸せです。 (2021年3月25日 12時) (レス) id: dee66be56c (このIDを非表示/違反報告)
あか - 涙が止まりませんでした(T_T) (2021年3月19日 21時) (レス) id: aad3573941 (このIDを非表示/違反報告)
yum(プロフ) - 今更ながら、読ませていただきました。もうなんだか感動しすぎて…笑一気に読んでしまいました笑これからも他の作品読ませていただきます！ (2020年7月15日 2時) (レス) id: a05dc0eb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月15日 17時
