167.もう、大丈夫。 ページ25
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身体を強く揺さぶられて目を覚ました。
新しく下ろした部屋着は、
少し身体に馴染み始めている。
阿部ちゃんの家で何度か洗濯してもらっているから、
彼と同じ匂いがする。
俺を揺さぶる手を掴んで引き寄せて抱きしめるまでが、
いつもの俺のルーティーン。
毎日ここに来ているわけではないが、
月の半分は彼の家で過ごしている。
彼を支えたい、以前に、
俺が彼のそばにいたいからそうしているのに、
未だに阿部ちゃんは、
ふとした瞬間に申し訳無さそうな顔をするから、
こうして俺がやりたいように抱きしめる。
そうすると、彼は困ったように笑いながらも、
安心した表情をするのだ。
今日は一段と起きるのが億劫だ。
だから、彼を離すことが出来ない。
引き剥がそうとする彼に意地になって抵抗する。
それでも俺の腕から抜け出した彼。
少し不機嫌な表情で寝室を出ていってしまう。
一度だけ大きく伸びをしてベッドから抜け出すと、
彼を追いかけてリビングに向かった。
部屋の隅には大きめのスーツケースと、ボストンバッグ。
俺は今日から、
彼を置いて、アジアツアーのため日本を出る。
彼はいつもと同じようにトーストを焼いてくれていて、
部屋には香ばしい匂いと、
甘い香りが。
普段ならコーヒーの香りが充満しているのに、
今日は甘くて優しい香りに包まれている。
ココアだ。
阿部ちゃんが好きなココア。
抱え込んで、ふさぎ込んで、
体調をずっと崩していたとき、
俺の家で彼が両手で大事そうに包んで、
嬉しそうに飲んでいたココアだ。
部屋着のままマグカップを両手で包み、
それを口に含むと、
甘ったるくて、優しい味が口の中に広がる。
それをすすりながら、阿部ちゃんを見ていた。
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雪兎（阿部担）(プロフ) - 数年ぶりによんだんですけど、本当にこの話大好きで、何回読んでも泣いてしまう最高の作品です。ありがとうございました！！ (9月4日 21時) (
レス) @page38 id: 265bbda4f1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾅﾂｷ - 他の方が書かれてるように読んでいくうちに物語に引き込まれて、止まらなくなりました。こんなに泣きながら小説を読んだのは初めてです。所々切なくて胸に刺さる部分もありましたが、最後mmabが結ばれて良かったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2022年4月29日 23時) (レス) @page38 id: 2d51285911 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしゅう(プロフ) - 読み始めたら止まらなくて一気に読みました。途中ハッピーエンドになると書いてあったけど、切なすぎて胸が痛くなるのは止められず目が腫れるほど泣きました。skabが好きなのでskが切なかったけど、ノンフィクションじゃないかと思える感動な作品で、読めて幸せです。 (2021年3月25日 12時) (レス) id: dee66be56c (このIDを非表示/違反報告)
あか - 涙が止まりませんでした(T_T) (2021年3月19日 21時) (レス) id: aad3573941 (このIDを非表示/違反報告)
yum(プロフ) - 今更ながら、読ませていただきました。もうなんだか感動しすぎて…笑一気に読んでしまいました笑これからも他の作品読ませていただきます！ (2020年7月15日 2時) (レス) id: a05dc0eb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haryu
| 作成日時：2020年6月15日 17時
