標的120 ページ27
「──以上が、ここまでの道程です」
「有益な情報はほぼ無し、か……まぁいいだろう。大体分かった」
私の波乱万丈な略歴に対し、無表情で片手を上げたラル。もう少しリアクションとか欲しかった。
「こちらのことは……あー、後で誰かに聞いておけ」
「え、教えてくれないんですか。話したのに」
「うるさい。貴様には、まだ聞かねばならないことがある」
そんな私の文句など聞き入れられるはずもなく。
ラルは、再び鋭く目を光らせ言った。
「Aが、戦力としてどの程度使えるのかどうか──お前、自分の炎についてどこまで
すなわち──未来の私が抱えていたという、属性の“矛盾”について。
そうだ、彼女もまたこの時代を知るひとり。
私は目の前に手をかざし、そっと意識を集中させた。
「わ……!すごい、雨と晴だ!」
「おっ、青いのはオレと同じだな」
「属性のことは、笹川先輩から聞きました。今出せるのは……このふたつです」
リングから燃え上がるのは──2色の炎。
晴はあの時、飛行機の中で発現したものだ。
「ほう……未来のお前は7つ全ての炎が使えたそうだが。自身の力も使いこなせないようでは話にならんぞ」
「全て!?」
指元で競い合うように燃える2色。
そのどちらもが強く、自分が本流だと言わんばかりの勢いだった。
了平の言葉を思いだす。
この現象が、波動の原理と矛盾しているのだとしても。
仕組みを解き明かすのは後でいい。
今は、戦える力を身につけるのが最優先だ。
未来の自分が7つの炎を使えたのなら。
「……追いついてみせる。必ず」
やらなくちゃ、いけないんだ。
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オウリ(プロフ) - こまりさん» ありがとうございます~!近いうちに続編公開するのでお待ちください! (6月14日 12時) (レス) id: df42654abf (このIDを非表示/違反報告)
こまり - 凄く面白いです!続きが気になります…🤔 (6月14日 5時) (レス) id: fd7a7e37b1 (このIDを非表示/違反報告)
七粍(プロフ) - きーち1さん» お返事遅くなりました…!コメントありがとうございます^^*おかわりどうぞ!!!(笑) (2022年3月27日 21時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
きーち1(プロフ) - 展開、設定めちゃくちゃ好きです!!ご馳走様です!!続き早く読みたいです!!おかわりください!!!!! (2022年2月28日 6時) (レス) id: a03c85b354 (このIDを非表示/違反報告)
微々(プロフ) - フランとベルさん» ありがとうございます〜!!^^*私もサクサク更新できるように頑張ります…! (2021年11月18日 11時) (レス) id: d69433a459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オウリ | 作成日時:2020年11月29日 23時